中国:新型電力、計算力、新世代通信など「6つのネットワーク」に注目

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2026年09月11日

2026年1月~7月の固定資産投資は前年同期比6.7%減に落ち込んだ。今後について、不動産不況の泥沼化など、ネガティブな話はレポートで様々分析してきた。折角の機会なので、当コラムでは今後有望視される投資分野である「6つのネットワーク」を紹介したい。具体的には、水供給・新型電力・計算力(コンピューティング能力)・新世代通信・都市地下共同溝・物流の6つのネットワークであり、国家発展改革委員会・鄭柵潔主任(大臣)の2026年3月6日に行われた全人代・経済テーマの記者会見で初めて言及された。鄭主任によると、これに「人工知能(AI)+」などを加えた重点分野の2026年の投資額は7兆元(約162兆円、1元=23.2円)を超えるという。2025年の固定資産投資の14.4%に相当する金額だ。

とりわけ重要なのは、新型電力、計算力、新世代通信の3つであり、国家発展改革委員会は2026年8月19日にこの3つのネットワークを一体化して整備する方針を示した。

新型電力ネットワークについて、2026年8月に国家発展改革委員会と国家エネルギー局が「新型電力システム構築第15次5カ年計画」を発表した。同計画では、①2030年までに(再生可能エネルギーの活用などによる)グリーンで低炭素の電力供給体制の基盤を整え、非化石エネルギーによる発電量の割合を50%に高める、②強靱・スマート・柔軟な新型電力ネットワークの骨格を整備し、28億㎾以上の新エネルギーの利用を可能にし、1億1千万台以上の電気自動車(EV)の運行を支える充電インフラネットワークを構築する、などといった目標を掲げた。

計算力ネットワークは、全国に点在するデータセンターのリソースをネットワークで統合する。中国では、西部に大規模なデータセンターを集積し、東部で発生した膨大なデータ処理や計算を西部で行う「東数西算」と呼ばれる国家プロジェクトが2022年に始動している。これをさらに推進していく構えだ。

また、2026年7月20日に行われた工業情報化部の記者会見では、新世代通信ネットワークの整備方針として、(1)基盤ネットワーク、宇宙空間ネットワーク、国際ネットワーク、融合ネットワーク、5G-A(第5世代移動通信システム=5Gの進化版)、10ギガビット級光ネットワークの大規模商業化など、インフラ体系を整備する、(2)6G(第6世代移動通信システム)、超高速光通信、海底光ケーブル、衛星通信などの中核技術開発と関連製品開発を加速し、イノベーションと産業チェーンの効率連携を実現する、(3)BMI(ブレイン・マシーン・インターフェース)、エンボディドAI、自動運転、5G-A、6G、衛星インターネットとの融合発展を推進する、ことなどを掲げた。

中国では、共産党・政府によりお墨付きが与えられた分野には、中央・地方政府、国有・民営企業を問わず、傾斜的な投資が行われ、地方銀行を中心に銀行が重点的に融資を行い、資金需要を支える。こうした挙国体制により、新しい産業が勃興していくのだ。これがトップダウン型の中国の強みといえるだろう。

中国経済の明るい部分にスポットライトを当てる「中国経済光明論」では、ここで話は終わるが、そうはならない。その後、特に消費者に近い川下の分野が熾烈な価格競争に代表される「内巻」と呼ばれる状況に陥っていくこと、そしてそれが国外では強みになる様子については、拙稿・大和総研レポート「中国:自動車産業の内巻、国外では強みに」(2026年5月18日)(※1)を参照されたい。

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齋藤 尚登
執筆者紹介

調査本部

主席研究員 齋藤 尚登