マイナ免許証、なぜ「二枚持ち」が選ばれるのか

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2026年07月29日

先日、運転免許証の更新のために、自宅近くの運転免許試験場を訪れた。2025年3月24日より運用開始となったマイナ免許証に関心があったので、従来の運転免許証からマイナ免許証への切り替えを検討した。しかし最終的には、マイナ免許証と従来の運転免許証の二枚持ちを選択することにした。

マイナ免許証を持つメリットは、まず免許更新時の講習をオンラインで受講できることである。マイナ免許証を保有し、必要な連携手続きを行った優良運転者や一般運転者は、スマートフォンや自宅などのパソコンで更新講習を受けられるため、免許センターでの拘束時間が短縮される。ただし、講習後には免許センター等で適性検査などの更新手続きが必要となる。さらに、マイナ免許証のみを保有し、事前に必要な手続きを済ませていれば、引越しによる住所変更や婚姻等による氏名変更を市区町村に届け出ることで、警察への変更届出が不要となる。もちろん、マイナンバーカードを携帯していれば従来の運転免許証を持ち歩く必要がないことや、マイナ免許証のみの場合は更新手数料が安くなるなどのメリットもある。

一方、デメリットは、レンタカーやカーシェアでマイナ免許証単独では対応できない場合があることだ。さらに、海外で運転する可能性がある人にとっても、国・地域によって日本の従来の運転免許証の原本提示を求められる場合があることは、従来の運転免許証を残しておく動機になり得る。こうしたデメリットがあるためか、運用開始から1年3カ月が経過した2026年6月末時点におけるマイナ免許証の保有率(以下、推計値)は4.4%である。運転免許保有者全体に占める割合として、従来の運転免許証とマイナ免許証の二枚持ちは3.2%、マイナ免許証のみはわずか1.2%にとどまっている(※1)。

マイナ免許証の普及には、制度上の利便性だけでなく、利用者が日常生活で不安なく使える環境整備が欠かせない。オンライン講習や住所変更手続きの簡素化は魅力的だが、レンタカーやカーシェア、海外での運転などで従来の運転免許証が必要になる場面が残る限り、多くの人は二枚持ちを選び続けるだろう。デジタル化を進めるには、行政手続きの効率化だけでなく、民間サービスとの接続や例外時の対応を分かりやすく整えることが重要である。利用者にとって「なくても困らない」ではなく、「これ一枚で十分」と思える状態をつくることが、普及への近道ではないか。

(※1)警察庁は、マイナ免許証保有者数を2026年6月末時点で公表している一方、運転免許保有者数については各年末時点の値を公表している。そこで本コラムでは、2026年6月末時点の運転免許保有者数が未公表であるため、2025年末(令和7年末)の運転免許保有者数に、同年の前年比減少率(▲0.284%)を適用して2026年6月末時点の運転免許保有者数を便宜的に推計し、マイナ免許証保有率を算出した。

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溝端 幹雄
執筆者紹介

政策調査部

主任研究員 溝端 幹雄