サマリー
◆中国自動車工業協会によると、2026年1月~4月の自動車販売台数は前年同期比4.8%減(以下、変化率は前年比、前年同期比、前年同月比)となり、2025年までの5年連続の増加から前年割れに転じた。やや細かく見ると、①ガソリン車は減少した一方で、新エネルギー車(NEV)は微増となった、②国内販売は不振であった一方で、輸出は急増した、という特徴が指摘できる。ここ数年のNEVの急発展は中国政府の産業政策の奏功によるところが大きい。ただし、現状では、中国の自動車産業はNEVを中心に「内巻」(英語のInvolutionの訳語)と呼ばれる破滅的な価格競争に巻き込まれている。
◆中国の自動車産業におけるNEVの急発展と「内巻」の深刻化、そして輸出急増は、日本・日本企業にとって対岸の火事ではない。中国に進出した日本の自動車メーカーは従来得意としていたガソリン車の国内市場が縮小する中で、NEVでは中国勢の後塵を拝し、熾烈な価格競争に巻き込まれているところも少なくない。中国が国内の需要不足から輸出ドライブをかければ、あるいは中国企業が域外で現地生産を強化すれば、当該国・地域でも競争が激化することになる。
◆中国・中国企業にとって、「内巻」は国内では大きな問題だが、国外では強みとなる可能性がある点も特筆されるべきであろう。国外では「劣敗」の対象は中国企業ではなく、国外の企業になるからだ。そこに中国(地方)政府や銀行にとってのしがらみはない。自動車産業の集積がない国・地域では、安価で高品質な中国産の自動車を輸入すること、あるいは中国の自動車メーカーが進出し、現地生産を行うことをむしろ歓迎するかもしれないが、自動車産業が集積している国・地域にとっては大きな問題となり得る。自国・地域の自動車産業のさらなる高度化に資する政策(場合によっては、合理的な産業保護政策)と、中国製品との差別化の重要性がいよいよ増すことになろう。
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