サマリー
◆2026年9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月差+2.9万人と大幅に減速し、市場予想(Bloomberg調査:同+9.0万人)を下回った。さらに、過去分も下方修正された。今回の結果は、前月分の公表時(下方修正前)に見られたほどには雇用者数の回復ペースが力強くないことを示している。とはいえ、均してみた雇用者数は依然として底堅い。また、失業率については同+0.1%pt上昇して4.2%となったものの、その要因は労働供給の改善というポジティブな内容だった。総じてみれば、雇用環境は引き続き底堅いと評価できる。
◆なお、事業所調査では、AIの悪影響を受けやすいホワイトカラー業種で軟調な傾向が目立った。こうした傾向は、企業マインド指数とも一致している。雇用環境の回復基調を評価するうえで、堅調なAI関連需要の恩恵を受けやすい生産部門だけではなく、人員削減が進むホワイトカラー業種を中心としたサービス業の先行きも併せて注目する必要がある。
◆続いて労働需要について確認すると、2026年8月の求人件数は前月差▲25.6万件と減少し、水準は707.9万件となった。求人件数は減少したものの5カ月連続で700万件を上回っており、底堅い。その結果、労働需給を示す、失業者数と比較した求人件数の比率は1.0倍程度で安定して推移しており、現時点では労働需給のひっ迫度が高まっているわけではない。こうした中で賃金上昇率は減速基調にあり、現時点では雇用環境がインフレ圧力を高める要因にはなっていない点は、インフレ抑止にとっては安心材料だろう。
◆最後に金融政策について、先行きの注目点は追加利上げのタイミングとなっている。ウィリアムズNY連銀総裁とジェファーソン副議長が、追加利上げの前にデータを慎重に評価したいとの見解を示したことで、市場予想では、10月27日・28日に開催予定のFOMCにおいて金利据え置きが優勢となっている。もっとも、次回FOMCでの据え置きは既定路線ではなく、あくまでデータ次第といえる。今回の雇用統計はFOMC参加者の見解を大きく変えるものではなかったとみられることから、注目はインフレ動向といえる。仮に、中東情勢が改善しない中で、10月14日・15日に公表予定のCPIやPPIが上振れする場合は、利上げの機運は再び高まり得る。
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