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理事長メッセージ

株式会社大和総研 理事長 中曽 宏

株式会社大和総研 理事長

中曽 宏
Hiroshi NAKASO

イランをめぐる地政学リスクの高まりで幕を開けた2020年の世界経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という思わぬ新たな脅威に晒されています。マスクやトイレットペーパーさえもスーパーの店頭から消えるという異常事態は1973年の石油ショックの風景を彷彿させます。それ以外にも、世界は米中貿易摩擦やBrexitなど、様々な不確実性に直面しています。しかし、振り返ればいつの時代にも世界を揺るがす不確実性は存在しました。地政学的には1990年のイラクのクウェート侵攻に続く湾岸戦争、経済面では日本の1990年代の金融危機と10年の時を隔てて発生したリーマン・ショックなど枚挙に暇がありません。つまり、不確実性がここへきて極度に高まってきたわけではないのです。

しかし、リスクの質が以前から大きく変わった面もあります。ひとつは、各国経済の相互依存や金融市場の統合が大きく進んだことです。国境を跨り複雑に張り巡らされたサプライチェーンの一角が途絶すると直ちに世界の生産に影響が生じます。人々の自由な往来により観光業は成長産業へと変貌を遂げてきましたが、ひとたび新型肺炎感染の不安が生じれば一瞬のうちに萎縮する脆さを露呈しました。巨額の資金が国境を越えて行き交う金融市場では、その一角で生じた混乱が瞬時のうちに世界の株式や債券市場を震撼させます。

もうひとつは、気候変動問題のように人類の存亡にも関わる、従来とは異質の課題の発生です。これは環境面で海面上昇や異常気象といった脅威をもたらすだけではなく、経済・金融面においても自然災害による物理的損害に起因する金融機関の財務内容の劣化と金融システム不安、化石燃料から再生エネルギーへの移行期における産業構造の変化など様々な新たな課題を生み出すことが予想されます。

以上のような、リスクの変質に伴って生じる様々な課題を、人類は英知を結集して克服していかなければなりません。シンクタンクとして大和総研が貢献できる領域がここにあります。私たちは第一に、厚みのあるエコノミストたちが、蓄積された知見に基づき長い時間軸で将来を洞察する力を持っています。第二に、豊富なデータを用いて地方経済までも目配りをした緻密な分析を行う力があります。そして、第三に、国際的な視野を広げるため海外の有力なシンクタンクとの連携を強めています。

私たちは、こうした強みを生かしながら、不確実な時代に未来を切り拓く政策に結実させる成果を生み出せるようこれからも邁進していきます。

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