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理事長メッセージ

株式会社大和総研 理事長 中曽 宏

株式会社大和総研 理事長

中曽 宏
Hiroshi NAKASO

1990年代の初頭、資産バブルが崩壊し、日本経済は、「失われた20年」とも言われる長い停滞の時代に入りました。その要因は複合的であったと考えられます。第一に、1990年代の未曾有の金融危機により日本の銀行部門は大きな損傷を受け、経済の立ち直りに不可欠だった金融仲介能力を十分に発揮することができなくなったことです。第二に、2000年代に入ってから顕著になってきた人口問題です。特に、生産年齢人口の減少は、財やサービスを生産する人の数が減るということですから経済成長に逆風になります。そして、第三には、長期的にデフレが継続するもとで企業の設備投資や技術革新が停滞したことです。マイルドなデフレは一見心地よいのですが、経済にとっては、知らないうちに活力が失われるという意味で、人間の病気に喩えると慢性病です。

こうした複合的な要因に対処するためには、政策面でも複合的な対応が必要です。長い道のりでしたが、金融政策、財政政策、成長戦略を組み合わせることが奏功し、これまで、日本経済は、バランスのとれた成長を続けてきました。実際、潜在成長率近傍での成長が続く中で、労働市場は完全雇用の状態にあり、底堅い企業収益を背景に設備投資が増加し労働生産性も改善しています。デフレを脱却し、経済を持続的な成長経路に戻すまで、あと一歩のところまで漕ぎ着けました。

もちろん、リスク要因もあります。海外経済の動向、とりわけ米国の経済政策をめぐる不確実性は依然高いままです。米中貿易摩擦は、二大国の覇権争いという根深い問題が背景であるだけに長期にわたって世界経済の下振れリスクとなる可能性があります。英国のEU離脱問題の帰趨が見通し難いことも世界経済の足枷です。国内では2019年秋の消費税率引上げの影響を見極めなくてはなりません。

日本は、「課題先進国」と呼ばれるほど、他国に先駆けて様々な課題に直面してきました。今後を展望するうえでは、これまでの経験を活かしながら長い時間軸を持って経済に内在する課題を洞察し、的確な提言を行っていくことが従来にも増して求められています。

このように、世界情勢が激動する今日、シンクタンクの役割はますます重要になっています。大和総研はプロフェショナル集団としてグローバルなネットワークをフルに活用し、トップクオリティを有するリサーチ、コンサルティング、システムの面から、常に時代のニーズを先取りした情報サービスとソリューションを提供してまいります。

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