サマリー
◆化石燃料を中心とした世界のエネルギー消費量は増加を続けており、その安定的な確保や気候変動への対応が喫緊の課題となっている。水素を本格的に利活用する「水素社会」は、エネルギー供給におけるS+3Eを実現する取組みの一つとして、各国で進められている。日本でも、水素社会の実現に向けたロードマップが示されるなど産官学連携で取組みが活発になっている。
◆「燃料電池」の利用では、エネファームの普及が進んでいる。燃料電池自動車(FCV)は年度内に一般販売される予定だが、水素ステーションの設置が課題となる。一方、水素を燃焼材とする水素発電などの研究開発も進められている。
◆国内の水素供給量は当面は十分と試算されているが、将来に向けた水素製造拠点や水素製造拠点と水素ステーションなどを繋ぐ輸送ネットワークの整備が各地で進められている。
◆気候変動対策の観点からは、製造時にCO2を排出しないCO2フリー水素の実現が求められる。水素は再生可能エネルギーのエネルギーキャリアや、被災時の非常用電源としての利活用が可能であり、世界に先駆けて、日本で水素社会が実現することに期待したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
水素社会の兆し 現地レポート
世界最大規模の水素エネルギー教育研究拠点となった九州大学
2014年12月15日
-
水素社会の兆し 第2回
分散型電源における水素の利活用
2014年06月25日
-
水素社会の兆し 第3回
燃料電池自動車のある社会
2014年07月01日
-
加速する水素社会への取組み
2014年11月21日
-
水素社会の兆し 第4回
FCVの普及に向けて
2014年07月07日
-
水素社会の兆し 第5回
水素技術の現状と課題
2014年07月14日
-
水素社会の兆し 第6回
地域に広がる水素社会
2014年07月25日
-
水素社会への期待と課題
『大和総研調査季報』 2014年夏季号(Vol.15)掲載
2014年09月01日
-
水素社会の兆し 第7回
再生可能エネルギーの大量導入を支える水素~Power to Gas~
2014年10月28日
-
水素社会の兆し 第8回
水素サプライチェーン、実証から実装へ
2014年11月11日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
-
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
-
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日