水素社会の兆し 第2回

分散型電源における水素の利活用

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2014年06月25日

  • マネジメントコンサルティング部 主任コンサルタント 平田 裕子

サマリー

◆水素の化学反応により発電する「燃料電池」は、小規模でも発電効率が高く、利用時にCO2を排出しないことから、水素社会における分散型電源として期待されている。日本は、小型の家庭用燃料電池の分野ですでに世界をリードしている。一方で、中・大規模の業務・産業用燃料電池の分野では他国に後れを取っている状況にある。


◆家庭用燃料電池は、環境性や災害時電源としての価値が認識されつつあり、年々販売台数が増加している。今後もコストダウンによる経済性向上や付加価値を高めることで市場の広がりが期待される。海外進出の動きもあり日本の成長産業としての期待も大きい。


◆業務・産業用燃料電池の分野では、特に米国系企業が商用化に成功しており、米国と韓国が市場をけん引している。日本では、環境面、経済面の優位性をどこまで出せるかが普及の鍵を握ることになろう。


◆発電所における水素利用では、燃料電池を用いずに直接水素を燃焼する水素発電がある。水素発電等により大量の水素需要を創出することは、水素供給体制の構築や水素価格の低下・安定化を図るうえで重要になる。今後の技術開発や運転データの蓄積が注目されている。

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