水素社会の兆し 第8回
水素サプライチェーン、実証から実装へ
2014年11月11日
サマリー
◆水素のように関連する産業の裾野が広い場合には、要素技術を組み合わせた実物大レベルでの実証試験が不可欠となる。日本は水素・燃料電池に係る社会実証を30年以上にわたって積み重ね、着実に技術やノウハウを蓄積してきており、実証から実装へとフェーズが移行する時期となっている。
◆水素の需給を見ると、水素の需要は当面FCVが牽引すると想定される一方、国内の水素供給量は当面は十分であると試算されている。四大都市圏を中心に水素を供給するための水素製造拠点、FCVに水素を供給する水素ステーション、水素製造拠点と水素ステーションを繋ぐ輸送ネットワークの整備が各地で進められている。FCVと水素ステーションは非常用電源として利用することもできるため、自治体と連携して地域住民の理解を得ながら、地域一帯で水素社会の実現を盛り上げることが重要であろう。
◆日本は水素・燃料電池に関する技術と最終製品普及で世界をリードしている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、水素利用のモデルケースを世界に示す好機である。世界に先駆けて、日本で水素社会が実現することに期待したい。
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