2014年09月01日
サマリー
2013年9月に発表されたIPCCの報告書では、気候システムの温暖化について疑う余地のないことが示された。原因の一つとされる化石燃料に代わるエネルギー源として、水素の有効活用がある。
日本では、2009年から世界に先駆けて家庭用燃料電池の普及が始まった。海外では日本に次ぐとされるドイツでも、実証事業による数百台の導入にとどまっており、海外市場の獲得が期待される。今後2014年度中には、燃料電池自動車が市場に投入されるとみられている。車両価格の低減と一定数の水素ステーション整備が普及の条件となるが、そのためには国や自治体による支援と民間企業の積極的な投資が重要になる。
取り組みが進められている水素エネルギーの活用だが、水素を得る一次エネルギーとして化石燃料を使用している現状では、環境性が確保された水素社会とは言えないであろう。製造法や今後の利用拡大に向けた課題はあるものの、水素は非資源国の日本にとって、「S+3E」達成に向けて有望なエネルギーであり、持続可能な社会の実現に向けて、有効に活用されることを期待する。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
加速する水素社会への取組み
2014年11月21日
-
水素社会の兆し サマリー版
水素社会の幕開け
2014年11月18日
-
水素社会の兆し 第8回
水素サプライチェーン、実証から実装へ
2014年11月11日
-
水素社会の兆し 第7回
再生可能エネルギーの大量導入を支える水素~Power to Gas~
2014年10月28日
-
水素社会の兆し 第6回
地域に広がる水素社会
2014年07月25日
-
水素社会の兆し 第5回
水素技術の現状と課題
2014年07月14日
-
水素社会の兆し 第4回
FCVの普及に向けて
2014年07月07日
-
水素社会の兆し 第3回
燃料電池自動車のある社会
2014年07月01日
-
水素社会の兆し 第2回
分散型電源における水素の利活用
2014年06月25日
-
水素社会の兆し 第1回
水素社会への期待
2014年06月19日
同じカテゴリの最新レポート
-
機械学習による有価証券報告書(2025年3月期)の人的資本開示の可視化
経営戦略と人事戦略の連動や、指標及び目標の設定に課題
2025年08月01日
-
サステナビリティWGの中間論点整理の公表
2027年3月期から順に有価証券報告書でのサステナビリティ開示拡充
2025年07月28日
-
カーボンクレジット市場の新たな規律と不確実性
VCMI登場後の市場と、企業に求められる戦略の頑健性
2025年07月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日