サマリー
◆7月の雇用統計が弱い結果となったことで、景気の下振れ懸念は強まっている。雇用環境の悪化を警戒させる主因となった非農業部門雇用者数の伸び悩みは、不法移民の流入減による影響も想定される。しかし、若年層の就業率の低下など、他の指標でも、雇用環境の悪化傾向は見られる。雇用環境が悪化すれば、家計の雇用者報酬が伸び悩む可能性があることから、米国経済の屋台骨である個人消費は楽観しづらい状況が続くと考えられる。
◆景気の下支え策として、財政・金融政策が注目される。財政政策に関しては、7月4日にトランプ減税2.0が成立した。しかしながら、税還付のタイミングなどを考慮すれば、家計に対する押し上げ効果は2026年以降に本格化することが想定される。
◆当面の景気の下支え策としては、FRBによる利下げが期待されよう。7月の雇用統計を受けて、複数のFOMC参加者が雇用環境の悪化リスクを懸念していることから、9月16・17日のFOMCを含め、近い将来における利下げの検討が想定される。2025年1月以降、FRBがFF金利を据え置き、様子見姿勢を続ける中で、利下げの再開は米国経済にとって安心材料となろう。他方で、PPIや期待インフレ率の上昇に見られるように、インフレ再加速リスクは根強い。FRBが利下げを再開するとしても、大幅利下げや継続的な利下げというよりは、漸進的な実施が想定されよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米DTCC、トークン化株式の本番取引を開始
証券トークン化、ウォール街の基幹的なポストトレード業務へ移行
2026年10月08日
-
米雇用者数は大幅減速、過去分も下方修正
2026年9月米雇用統計:ただし、均してみれば雇用環境は底堅い
2026年10月05日
-
米長期金利を押し上げる利上げ織り込み加速は妥当か
むしろ警戒すべきは金融環境のタイト化による景気のオーバーキル
2026年10月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

