サマリー
◆賃金相場の上昇や企業の賃金支払能力の向上を踏まえると、2025年度の最低賃金(最賃)は前年度の5.1%(51円)を上回る引き上げが行われる可能性がある。その上で、政府目標がどの程度考慮されるかで引き上げ幅は変わるが、引き上げ率の目安は6%(63円)程度となり得る。実現すれば、最賃は全国加重平均で1,118円程度となる。
◆2025年度の骨太方針では、欧州連合(EU)の最賃目標(賃金の中央値の60%や平均値の50%)を紹介しつつ、EU加盟国に比べて「我が国の最低賃金が低い水準となっている」と指摘された。だが、これはフルタイム労働者対比の最賃水準であり、パートタイム労働者を含めたマクロの平均賃金対比では国際的に見劣りしていない。
◆さらに骨太方針では、目安を超える最賃引き上げが行われた地域に対する国の新たな支援策が盛り込まれた。沖縄県や青森県など「Cランク」に分類されている地域を中心に、平均賃金対比で見た最賃は既に高水準にある。こうした中で国の新たな支援策が地域間の最賃引き上げ競争を過熱させ、経済実態から逸脱した大幅な引き上げが行われないかを今後は注視する必要がある。
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