のれんの償却・非償却に関する議論の展望

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2025年07月07日

サマリー

◆規制改革推進会議が2025年5月28日に取りまとめた「規制改革に関する答申」では、「スタートアップの成長促進に向けたのれんの会計処理の在り方の検討」が掲げられた。スタートアップを成長させるM&Aの促進という観点から、今後のれんの償却をめぐる議論が熱を帯びると予想される。

◆日本会計基準ではのれんは償却をし、償却費は営業費用となる。一方、国際会計基準ではのれんは償却しないが、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年減損テストを行う。のれんの償却・非償却については国際的に長く議論されてきたテーマであり、両者の違いの背景には会計基準ごとののれんに対する考え方の違いがある。それぞれのメリット・デメリットに加え、この考え方の違いを押さえておくことも重要である。

◆仮にのれんの会計処理に関する改正の議論を行うとしても、基準の改正には審議テーマの決定、審議、公開草案の公表といったプロセスがある。また、日本会計基準におけるのれんに対する考え方や、従来ののれん償却に対する広い支持を踏まえると、審議が行われる場合においても時間を要するだろう。

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