データセンター建設を巡る論争が米中間選挙の新たな争点に
2026年08月31日
「データセンターの建設を巡る論争が、米国の中間選挙の新たな争点として急浮上している」と8月23日のNYタイムズが報じた。これに前後してWSJをはじめ米国の多くのメディアも同趣旨の報道を行っている。
データセンター建設に伴う住民の懸念としてよく取り上げられるのは、電力料金の上昇や水資源への影響、景観の悪化などだ。巨大テック企業だけが利益を享受し、そのコストを地域住民が負担しているとの不満が中間選挙を前に表面化している。
この時期に米国のメディアがこの話題を取り上げている背景にはいくつかの要因がある。例えば、テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)が、8月4日に同州内でのデータセンターの新規プロジェクトの承認を一時停止するように命じた(※1)。また、8月18日にはペンシルベニア州のジョシュ・シャピロ知事(民主党)が、データセンター建設の規制を厳格化する州知事令に署名したことがあげられる(※2)。
両知事ともこれまでデータセンター誘致を積極的に推し進めてきた。こうした政策の変化の背景には、有権者の懸念の高まりや選挙戦における争点化が影響している可能性がある。ギャラップが2026年3月に実施した調査によれば、自身の居住地域にAIを支えるデータセンターが建設されることに反対する米国人は71%を占める。支持政党によって意見が大きく分かれていない点も特徴である。選挙戦においては、対立候補はデータセンター建設推進派だが自身は慎重派だと主張することによって、自らの支持率を高めようとする選挙戦術も使われている。データセンターの建設をめぐる論争は、中間選挙を左右する重要な争点として今後の展開を注視する必要がある。
大規模なデータセンターを建設しているハイテク大手企業は、建設予定地の住民向けの説明会を開催し、そこでの意見を踏まえて雇用確保や地域社会整備のための投資などを約束することによって建設を進めようとしている。その結果、データセンター建設には以前よりも時間もコストも要するようになっている可能性がある。もっとも、データセンターの建設には数年の期間を要し、すでに着工済みのプロジェクトも少なくないため、足元のAI投資ブームが直ちに勢いを失う可能性は高くない。今後は、こうした動きがAI関連投資の拡大ペースにどの程度影響を及ぼすかが注目される。
(※1)ロイター「テキサス州知事、データセンター承認に一時停止命令 送電網への影響懸念」(2026年8月5日付)
(※2)ロイター「米ペンシルベニア州、AIデータセンター建設規制を厳格化」(2026年8月19日付)
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

- 執筆者紹介
-
政策調査部
主任研究員 山崎 政昌

