家計は円安のメリットを享受できているか

若年層は円安で所得・資産が共に増加も低所得層の生活は厳しく

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2026年09月30日

サマリー

◆円安は日本経済にとってメリットとデメリットの両面があり、一概に良い・悪いと結論付けられないが、家計はデメリットをより強く感じているようだ。VAR(ベクトル自己回帰)モデルに基づくと、10%の円安ショックが発生した場合、ショックがなかった場合と比べ消費者物価は1年後には1.1%程度、2年後には1.5%程度、3年後には1.8%程度、名目賃金は1年後には1.0%程度、2年後には1.3%、3年後には1.8%程度上昇すると試算される。実質家計所得について見ると、賃金が物価にやや遅れて上昇することや公的年金の支給額が物価・賃金の変動に遅れて改定されることにより、ショックからおよそ2年後にかけて悪化を続ける。こうした構造が家計の円安に対するネガティブな受け止めにつながっていると考えられる。

◆年収・年齢階級別に見ると、年金生活者の多い低所得層や賃上げの遅れが見られる40・50歳代の実質所得は円安によって比較的大きなマイナスとなるものの、若年層や就労している高齢層は、構造的な人手不足や定年引き上げ等もあって、賃金上昇率が高く、実質家計所得はプラスとなる。特に20歳代以下は直面する物価上昇率が低いこともあって、実質所得増加率が他の年代よりも高い。実質金融資産について見ると、全ての年齢層でプラスとなっているが、若年層はNISAの活用等によって金融資産に占める株式・投資信託比率が高く、特にプラス幅が大きい。一方、低所得層は実質家計所得だけでなく、実質金融資産もマイナスとなっている。年金収入で生活しており、かつ金融資産に占める株式等の割合が低い高齢者は、円安によって短期的には大きなダメージを受ける。

◆より多くの家計が円安のメリットを享受できるようにするためには、2027年度から段階的に導入される「就業者負担軽減支援金」を通じて高齢層の就労意欲を高めること、金融教育等を通じて家計の有価証券保有比率を高めていくこと、為替によって過度に金融資産が変動することがないように家計は資産構成のバランスを取っていくことが重要だ。

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