2026年の欧州政治の注目点
2026年01月30日
2026年の欧州では、予定されている国政レベルの選挙は限られており、政治的な動きは比較的落ち着いたものとなりそうである。ただし、地方選挙等を含めれば多くの選挙が実施され、近年の欧州のトレンドである政治の右傾化は、2026年も引き続き欧州政治を見る上での大きなポイントになる。
具体的に注目の選挙を見ていくと、まずは既に第1回投票が1月18日に実施されたポルトガルの大統領選挙が挙げられる。長く二大政党制が続いてきた同国では、近年、新興の極右政党・シェーガへの支持が高まっており、同党のベントゥーラ党首が大統領に選出される可能性が注目される。もっとも、第1回投票でベントゥーラ党首の得票率は2位にとどまり、思いの外伸び悩んだ。2月8日には、得票率1位の中道左派・社会党出身のセグーロ氏との決選投票が行われるが、極右大統領の誕生を懸念する票が集まることでセグーロ氏が優勢とみられる。極右大統領の誕生はひとまず実現しない公算が大きい。
他方、極右躍進が見込まれる選挙として、ドイツの州議会選挙、および英国の地方選挙が要注目である。
ドイツでは2026年に5つの州で議会選挙が予定されており、このうち9月に選挙が行われるザクセン=アンハルト州、およびメクレンブルク=フォアポンメルン州の東部2州では、AfD(ドイツのための選択肢)が第一党になる可能性が高いとみられている。AfDは2024年9月にテューリンゲン州議会選挙でも第一党となったものの、他政党に協力を拒まれたことで政権を担うには至らなかった。だが、その後ドイツ国内でのAfDの支持率は一層上昇しており、2026年の州議会選挙では、第一党の座を獲得するのみならず、初の州首相を出せるか否かが注目される。
英国では、伝統的二大政党の労働党、保守党の支持率が低迷する中、ブレグジット党を前身とするリフォームUKが支持率トップを走る状況が続いている。2025年の地方選挙では、改選議席の約4割を獲得するという大躍進を見せ、その勢いが2026年5月の地方選挙でも維持されるかが注目点である。リフォームUKは保守党に失望した支持者の受け皿になることで支持を拡大しており、地方選挙での躍進が続けば、2029年までに予定される下院議会選挙に向けて勢いを増すとみられる。
やや違った文脈で注目されるのが、4月に実施されるハンガリーの総選挙である。ハンガリーは、オルバン首相が率いる極右政党・フィデスが2010年から政権を握っているが、4月の選挙で政権交代の可能性が浮上している。現在、支持率トップの新興政党・ティサの政策スタンスはフィデスと同様に総じて保守・右翼的であるものの、大きな違いとして、親EUを掲げている。EUに懐疑的なオルバン首相による拒否権行使は、これまでEUの意思決定の遅れに繋がってきた。仮にハンガリーで政権交代が起これば、EUの政策運営の円滑化が見込まれ、EU全体にとっても大きな意味を持つ可能性があるだろう。
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- 執筆者紹介
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ロンドンリサーチセンター
シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

