積極的に支持されている候補者がいない米大統領選挙
2023年08月25日
来年2024年に世界的に注目される政治イベントの一つが11月5日に行われる米国大統領選挙であろう。1年以上も先の選挙の話題に触れるのは時期尚早かもしれないが、実は選挙に向けた長い戦いはすでに始まっている。
民主党からは、4年前の選挙戦と同じ4月25日にバイデン大統領が立候補を表明した。同党からは他に2名が立候補を表明しているが、現職のバイデン氏が世論調査で他候補を大きく引き離し、党内の最有力候補となっている。一方、共和党からは10人以上が立候補しており、2022年11月に早々と立候補を表明したトランプ前大統領が、現時点で共和党の最有力候補となっている。共和党はバイデン大統領に勝てる候補として誰を選ぶのか、そして、選ばれた共和党候補がバイデン大統領といかに対峙していくのかが注目される。
仮に両氏が党候補となれば、2020年大統領選挙の再戦となる。米国史上、大統領選における再戦は6回あり、直近では1956年の大統領選で、共和党現職であったアイゼンハワー氏が民主党候補者のスティーブンソン氏と再戦した。この時はアイゼンハワー氏が再選した。
一般的に、現職大統領は再選に有利とされる。第二次大戦後に選挙を経て就任した大統領のうち、二期目も出馬した8人の中で再選を逃したのは、カーター氏、ブッシュ氏(父)、トランプ氏のみだ。
しかし、バイデン大統領の支持率は就任1年目の2021年8月以降、継続して不支持が支持を上回っており、直近の支持率は40%台前半と低い水準で推移している(※1)。誰が米国の政治指導者にふさわしいかという世論調査(※2)においても、バイデン氏は、不支持が支持を上回っている。ただし、トランプ氏も同様に不支持が支持を上回っており、全体的に見れば両氏ともに積極的に支持されているわけではないのである。
現在、バイデン氏が80歳、トランプ氏が77歳と高齢であることから、フロリダ州知事である共和党のデサンティス氏など、若い候補者に目を向ける有権者もいる。もっとも、同氏の共和党内での支持率は低く、誰が米国の政治指導者にふさわしいかという上記の世論調査でも、バイデン氏やトランプ氏と同様に不支持が支持を上回っている。このように、現状の世論調査からすると、2024年の選挙戦は、積極的に支持されていない者同士の戦いと言えるのかもしれない。現時点で優勢な候補者はいないため、外野から見る者からすれば、候補者が有権者からの支持を取り付けるためにどのような言動をし、どのような戦略をとるのか、見ごたえがある選挙戦が1年以上続くことになるだろう。
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金融調査部
金融調査部長 鳥毛 拓馬
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