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持株会社とは何か

2017年10月03日

経営コンサルティング部 主任コンサルタント 吉田 信之

最近、お客様より「持株会社化を検討しているのですが、どうすればよいでしょうか…」といったご相談を受ける機会が増えてきている。現在、上場会社(約3,600社)のうち、約500社が持株会社制を選択しており、全体の約14%を占めていることを鑑みれば、こういった相談が増えることは当然なのかもしれない。ライバル企業が持株会社化したとなれば、経営トップから「なぜうちは持株会社化しないのか」とか、「うちが持株会社化した場合のメリット・デメリットを整理しろ」といった指示がいつ飛んでもおかしくない状況といえるからである。

そもそも「持株会社とは何か」と聞かれたら、私は「グループの全体最適を実現するための仕組み(組織体制)です」と答えるようにしている。教科書的には、持株会社とは「他の会社の株式を所有することによって、他の会社の事業活動を自社の管理下に置き、他の会社を実質的に支配することを目的として設立された会社」のことをいう。ただ、このようにお伝えすると、「では、うちは実質的には持株会社のようなものだ」とか、「わざわざ持株会社化などしなくても、現状の体制で十分なグループ管理体制を構築できている」とおっしゃられる方も少なくない。すなわち、子会社は全て自社(親会社)でコントロールできており、現在の体制でもグループの全体最適は実現できている、と思われているのであろう。

もちろん、このような意見を完全に否定することはできない。組織体制はあくまでも形にすぎず、実態を伴っていなければ意味をなさない一方で、実態を伴っていればどのような組織体制をとろうとも、会社の経営目的を達成することは可能だからである。ただ、注意して頂きたいのは、前述の「実質的に持株会社のようなもの」はいわゆる事業持株会社のことを意味しており、本来の持株会社を意味する、純粋持株会社とは異なるものだという点である。

それでは、事業持株会社と純粋持株会社の違いは何か。一言でいえば、持株会社(親会社)自身が事業を営んでいるか否か、である(図表1)。これは軽微な違いの様で、実は大きな意味をもっている。

強大な権限を持つ親会社が事業を営んでいる場合、グループの経営資源配分はどうしても親会社の事業(本業)優先となりがちである。その結果、本業だけが突出して強くなっていくことも多い。すなわち、本業とは別の事業や新規事業など、第二、第三の柱が育ちにくいのである。また、親会社の利益を損なう意思決定は行いにくく、当初は赤字が続きがちな新規事業の立ち上げ等はどうしても後回しになりやすい。

このような観点から、グループの全体最適を実現するための仕組みとして、自らは事業を行わない純粋持株会社が望ましいといえる。このことは、事業ポートフォリオの最適化のための仕組み、と言い換えることもできよう。たかが形、されど形、である。

持株会社にはこのような「グループの全体最適を実現するための仕組み」という側面のほか、一般に、M&Aを行いやすい組織体制であること、経営者人材の育成にも寄与すること等のメリットがあると言われている。今後の成長戦略として、新規事業を育てたいとお考えの方、M&Aを積極的に行っていこうとお考えの方、経営者人材を育成したいとお考えの方、現状グループの全体最適が図れていないのではないかとお考えの方は、ぜひ一度、持株会社化をご検討されては如何だろうか。

事業持株会社と純粋持株会社

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吉田 信之

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