クレーム大国アメリカ
2016年10月26日
先日、日本で利用していたとある有料のオンラインサービスをアメリカで利用しようとしたところ、どうやっても居住国の設定を変更できないという現象に遭遇した。アメリカの窓口に問い合わせをしてみたところ、数時間で返答があり、「その問題は解決できないが、新しいアカウントを作成すれば、有料会員の権限を引き継げる」とのことであった。ただし、メールアドレスの変更が必要で、悩んだ結果、日本の窓口にも同様の問い合わせをしてみることにした。
翌日届いた日本の窓口からの第一報は「調査した上で、再度連絡します」とのことであった。その後、1ヶ月以上経ってから「問題を修正しました」との回答が日本からあり、問題なくアメリカのサービスを使えるように設定が変更されていた。思っていたよりは時間が掛かったものの、見事に期待通りの結果を出してくれたわけである。
こうしたやり取りを経て、日本人によるサービスの質はすばらしいと思う半面で、アメリカの対応も合理的であると感じられた。メールアドレス変更という手間を強いられる一方で、対応の早さの面では圧倒的に優れていた。
アメリカでは、とりあえず買ってみて、気に入らなければ返品するという返品文化が根付いており、クレームへの対応は非常に迅速である。返品しなければいけないような不良品に遭遇することが多く、通販で注文したものと違うものが届くことも日常茶飯事であるが、連絡すれば即座に返品・交換に応じてくれる。場合によっては、手元にあるものを返品せずとも、新しいものを送ってくれることさえ少なくない。
アメリカに住み始めた頃は、様々な店とのやり取りが一度で上手くいかないのが非効率だと思っていたのだが、見方を変えればむしろ効率化の結果であると考えられる。企業側の視点に立てば、商品における不良品の割合を下げる努力をするくらいであれば、即座に交換に応じてしまう方が、全体としてコストの削減になるのかもしれない。また、返品に掛かる時間や金銭的コストを極力減らすために、細かいことは気にせず、とにかく返品という対応をしているのだろう。こうした対応が結果的に企業や、国全体の生産性を高める要因になっている可能性すらあるのではないか。
もちろん、日本らしい、おもてなし文化が劣っているなどとは全く思わず、日本がアメリカと同じようになるべきとは思えない。しかし、日本人からすると適当と感じるような対応や考え方も、日本企業が海外へ進出したり、外国人を日本に呼び込む際には必要な視点なのかもしれない。
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- 執筆者紹介
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ロンドンリサーチセンター
シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦
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