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ご存知ですか?番号制度

2012年02月06日

ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鳥毛 拓馬

1年前に「番号制度により実現できる施策」というタイトルでコラムを書いた。振り返ってみると、この1年で、「社会保障・税番号要綱」、「社会保障・税番号大綱」が決定され、番号の名称は「マイナンバー」に決まり、全国各地で政府主催の番号制度シンポジウムが開催されている。昨年末には「社会保障・税一体改革素案」も示され、2012年の通常国会では、いわゆる番号法案(通称マイナンバー法案)が提出されることになっており、番号制度は、実現に向けて着実に進んでいる。

しかし、前回のコラムで筆者が提案した内容、すなわち、証券会社や金融機関などの民間が、番号を納税事務以外で活用すること、例えば窓口での本人確認等、法律上金融機関に課せられた事務における番号の利用などは、結局認められないことになった。民間利用を認めることで、個人情報の漏洩、不正利用などの行為によりもたらされるリスクが高まることが懸念されたのであろう。

また、現時点では、番号制度を導入する際に、コストがどのくらい想定されるのか、国の負担分、民間の負担分はどれくらいなのかという点については明らかになっていない。民間については、番号制度の利用が納税事務以外認められないのであるから、単に、制度が導入されても民間にとってはコストが増加するのみということである。2018年から利用範囲の拡大を含めた番号法の見直しを行うことが検討されることになっているが、もう少し早目に議論を開始しても良いだろう。

昨年、番号制度シンポジウムに参加したが、聴講者の中には、戦前の日本やナチスドイツを具体例に挙げ、番号制度の導入自体に反対する方もいた。ドイツにおいては、ナチスドイツがユダヤ人に番号を付したという歴史的経緯があるため、番号に対する抵抗感は強かった。しかし、そのドイツでも、既に税務に限ってではあるが番号制度を2009年に導入している。番号制度の検討の経緯や各国の状況などが国民に知られていないのはもちろんのこと、現在検討されている番号制度の内容そのものが国民に周知されていないことも実感した。現状では、法律が成立しても、多くの国民にとって番号制度の認知度は低いままであることが懸念される。政府には、番号制度の意義や必要性を国民にさらに周知する努力が求められる。

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ニューヨークリサーチセンター
主任研究員(NY駐在) 鳥毛 拓馬