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税制抜本改革の議論に向けて

2008年04月14日

ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鳥毛 拓馬

経済協力開発機構(OECD)は2008年4月7日、わが国の景気動向や経済・財政運営上の課題などをまとめた「対日経済審査報告書2008年版」 (※1)を発表した。

報告書の中の税制に関する勧告についてみると、まず、税が経済成長に及ぼす悪影響を最低限に抑えるため、直接税よりも間接税の比率を高める必要があるとして、OECD諸国の中で最も低い消費税率(5%)の引き上げが必要であるとしている。
一方、法人税については、全法人の3分の1(大企業では半数)しか納めておらず、租税特別措置を削減し、高い控除枠を引き下げることにより、結果として、法人税の課税ベースが拡大するとしている。課税ベースが拡大することによる増収分を利用して、OECD諸国の中で最高の法人税の実効税率(約40%)をOECD平均の29%に近い水準まで引き下げるよう提案がされている。
また、個人所得税の課税ベースを拡大して税収を押し上げるため、給与所得の1/4以上に相当する給与所得控除の削減という、我々サラリーマンにとっては、厳しい提案もなされている。
わが国の政府は必要な歳入を確保するために抜本的な税制改革を実施するべきだということである。

ところで、OECDに提案されているような税制改革論議は国内でされているのであろうか。
一昨年に公表された、平成19年度の与党税制改正大綱では、平成19年度を目途に消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでいくとしていた。
ところが、昨年の政府税制調査会が公表した、「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」と題された平成20年度税制改正に関する答申では、消費税について、「社会保障財源の中核」と位置づけたものの、具体的な税率や実施時期については明記せず、抜本的な改正を先送りした。法人税の実効税率の引き下げについても、見送りの方針を示した。
衆参ねじれ国会の状況や総選挙が考慮され、平成20年度与党税制改正大綱でも、抜本的な税制改正は先送りされたのである。
最近の世間の税に関する議論といえば、ガソリンの暫定税率に集中していたのであり、消費税、法人税、所得税に対する国民の関心は薄れていたように思われる。
もちろん、OECDの指摘をそのまま受け入れる必要はないものの、先送りを続けてきた、消費税、法人税、所得税を含めた税制の抜本改革に対して国民の関心が高まることを期待したい。
 

(※1)
OECD対日経済審査報告書2008年版 要旨

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ニューヨークリサーチセンター
主任研究員(NY駐在) 鳥毛 拓馬