不動産M&Aの落とし穴

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2026年10月09日

  • コーポレート・アドバイザリー部 主任コンサルタント 広島 良佑

昨今、不動産市況の高止まりと富裕層課税の強化を背景に、不動産M&Aへの関心が高まっている。

本コラムでの不動産M&Aとは、売却対象会社の価値の源泉が保有する不動産にあるM&Aを指す。具体的には、保有する資産の大宗が不動産である資産管理会社や不動産賃貸業を営む会社の株式を売買対象とする取引である。

法人が保有する不動産を売却する手法として、不動産そのものを売却する方法と、当該法人の株式を売却することで間接的に不動産を売却する方法があり、アドバイザーとしては両者の取引慣行の違いに留意して案件を遂行していく必要がある。

ここでは、不動産売買と不動産M&Aの取引慣行の違いから生じる、不動産M&Aの実務上の留意点について述べる。代表的な論点は、不動産に関する表明保証である。不動産M&Aにおける表明保証と、不動産売買における現況有姿取引との整合性を取ることが難しい点が挙げられる。

現況有姿取引とは、売却対象不動産を現状のまま引き渡す契約条項である。一方、表明保証とは、契約当事者が一定の時点における事実について「真実である」「正確である」と表明し、その内容を保証する契約条項である。

一見すると、対象不動産の現状を表明保証条項において規定すれば足りるように見受けられるが、実務ではその内容を巡って交渉が難航することがある。土壌汚染を例に挙げると、対象不動産について過去に詳細な土壌調査が実施されていることは稀であり、建物がある状態で詳細な土壌調査を行うことには限界がある。このような状況下にある不動産売買では、売主が知り得る範囲で不詳または不明であることを現況有姿として取引することがある。一方、不動産M&Aにおいては、不明であることを表明保証しても、買主にとって実質的な保証にならず、交渉が平行線に陥ることがある。

このような不動産売買との取引慣行の違いを認識せず、当事者間の妥結点を想定しないまま、不動産M&Aを遂行すると、契約交渉の大詰めで案件協議が頓挫しかねない。アドバイザーにも、不動産取引の知識を深め、案件の初期段階から、売主と買主のリスク分担や妥結点を見据えた検討が求められよう。

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広島 良佑
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