ブラジル:右派政権発足の場合、何が変わるのか

市場志向を強めつつ、社会的包摂を維持するフラビオ氏、外交は実利重視か

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2026年10月08日

サマリー

◆2026年10月4日に行われた大統領選挙の第1回投票では、ボルソナロ前大統領の長男であるフラビオ・ボルソナロ上院議員(以下、フラビオ氏)が首位となったが、過半数に届く候補者はいなかった。こうした接戦の背景には、現政権の社会福祉政策を評価する声が根強い一方で、医療や治安、インフレ、低成長などの政策運営に対する不満も投票行動を左右したとみられる。

◆ルラ政権下では、雇用や実質所得の上昇、信用拡大が消費を押し上げ、貧困削減と内需主導の成長を支えた。ただし、その成長は資源価格の上昇に伴う交易条件の改善にも支えられており、生産性向上や持続的な民間投資を通じた成長モデルへの転換は十分には進まなかった。所得移転による再分配機能を維持しながら、このような構造問題にも対応することが、次期政権に一段と求められている。

◆フラビオ氏が掲げる2027~30年の政府計画では、1990年代のような「小さな政府」は追求されておらず、行政組織と歳出の選別、国有資産の民間開放、規制改革を進める一方、政治的支持の高い社会政策と基礎的公共サービスを維持しようとする構想だ。

◆対外政策では、OECD加盟やグローバルバリューチェーンへの参加、外資誘致を重視しており、少なくとも経済外交の面では、保護主義的な色彩を強める米国とは異なり、国際経済への統合を重視する姿勢がうかがえる。またそれと並行して、貿易・投資上の利益を踏まえてグローバルサウスとの関係も維持する、実利的な多角外交を選択する可能性が高い。

◆決選投票後の注目点は、右派か左派かの二者択一ではなく、社会的包摂と市場改革といった、これまで同国で相反するとされてきた政策をどのように両立していくのかだろう。

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