外為法改正の注目点 ~一定のソフトウェア開発企業が審査対象から除外される可能性

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2026年06月22日

2026年5月29日、対内直接投資審査制度を見直す、外国為替及び外国貿易法(外為法)の改正が可決・成立した。来年6月までに施行される。

対内直接投資審査制度とは、主に安全保障の観点から、外国投資家が、武器製造業やインフラ事業といった安全保障等にかかわる業種(指定業種)に対して一定の投資を行う場合、原則として日本政府に事前に届け出ることを求め、審査の対象とする制度を指す。今回の改正は、2026年1月に公表された関税・外国為替等審議会の答申に基づいて、昨今の地政学リスクの高まりを受け、「日本版CFIUS(※1)」を創設するとともに審査対象を拡大するものである。例えば、日本企業の株式を所有する外国企業を他の外国企業が買収するという形で、日本企業を間接的に取得する場合が審査対象に追加される。

本制度において、審査の結果、安全保障等の観点から問題があると日本政府が判断した場合、投資を中止するよう勧告・命令がなされる。そのため、一部の日本企業の間では、外資による同意なき買収や意に沿わない株式取得に対しては、本制度が抑止効果を持つのではと期待されているようである。

本制度はあくまで審査制度であり、審査の結果、日本政府が問題ないと判断すれば買収や株式取得は認められる。しかし、2008年には英領ケイマン籍ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンドが電力事業を営む電源開発の株式を追加取得しようとしたケースでは中止勧告がなされた。最近でも2026年4月に、同意なき買収のケースではないが、アジア系投資ファンドのMBKパートナーズによる工作機械大手の牧野フライス製作所の買収に対しても中止勧告がなされている。そのため、上記のような期待が的外れというわけではない。

しかし、関税・外国為替等審議会の答申は、近年届出件数が増加していることに対応するため、一定の業種を指定業種から除外することを提言している。除外された場合、そもそも審査の対象にならなくなるため、同意なき買収等に対する抑止効果も失われてしまう(※2)。

具体的には、ソフトウェア開発企業等が該当する「情報通信技術関連業種(※3)」について、サイバーセキュリティ対策等の観点から真に必要性が認められるものに限定することを提言している。

指定業種の範囲は、法律よりも下位の法令である告示で定められているため、今回の法改正には盛り込まれておらず、具体的な見直しは今後行われる告示改正で明らかになる。「情報通信技術関連業種」に該当している日本企業は、自社が指定業種から除外されないか注視しておく必要があるだろう。

(※1)CFIUSとは対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United States)を指す。外国企業による対米投資を審査する、米国の省庁横断的組織である。
(※2)今回の法改正により、外国投資家が国有企業等に該当する場合は、投資先の企業が指定業種でなくても、投資が行われた後に日本政府が株式の売却を命令することも可能になる。
(※3)半導体製造、ソフトウェア、情報処理サービス、一部の通信業等が該当する。2024年度の本業種に係る届出件数は、業種別の全届出件数3,706件(延べ数)のうち2,072件(約56%)を占めている(関税・外国為替等審議会「対内直接投資審査制度等のあり方についての答申 別紙」(2026年1月7日)p.2参照)。

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執筆者紹介

金融調査部

主任研究員 金本 悠希