日本企業の税負担はまだ重い?
2025年06月20日
過去40年間にわたって日本の法人税率(国税)は引き下げられてきた。1980年代半ばに43.3%だった税率は、2018年度以降23.2%になり、20%pt以上低下した。その結果、2010年代に日本企業が直面していた高い法人税率は、おおむね解消されたといわれる(※1)。財務省によれば、2024年の日本の法人所得課税(地方税を含む)の実効税率は29.74%で、他のG7諸国(24.00~29.93%)と比べて高い方だが、大きくは変わらない。
しかし、法人税には様々な軽減措置等があるため、実効税率のみで判断すべきではない。そこで、OECDのデータに基づき、国と地方の法人所得課税の税収(GDP比)をG7諸国で比較したものが下図である。最も高いのはカナダの4.4%で、次が日本の4.2%だ。その後、英国(2.9%)、イタリア(2.3%)、ドイツ(2.1%)、フランス(2.4%)、米国(1.7%)と続く(2019~23年・年度の平均)。これを見ると、日本企業は米国や欧州主要国の企業と比べて1.5~2.5倍の税負担を負っていることがわかる。
カナダと日本の法人所得課税(GDP比)は、3位の英国と比べて1%pt以上の差がある。これは地方税の違いによるものだ。法人所得課税のうち国税(GDP比)は、上位3カ国で2.8~2.9%とほとんど同じだが、地方税(GDP比)では、カナダが1.7%、日本が1.3%であるのに対し、英国ではゼロである。これは、英国では地方税に法人所得課税がないためだ。
フランス、イタリア、米国でも地方税に法人所得課税が存在しないか、あってもわずかだ。これらの国々で地方税に法人所得課税が導入されない理由として、①税収が景気の変動を受けやすく不安定であること、②大都市に偏在する傾向があること、③地域の公的サービスから企業が受ける受益が明確でなく、応益性を重視する地方税の性格にそぐわないこと、などが指摘されている(※2)。
こうした実態を踏まえれば、日本企業の税負担を軽減するためには、地方税における法人所得課税を縮小することが重要となる。もっとも、地方税収全体の水準を維持することも必要だ。そう考えると、地方税の法人所得課税である法人住民税や法人事業税を減税しつつ、景気の変動を受けづらい地方消費税や、公的サービスからの受益とある程度明確な関係がある固定資産税や個人住民税などを増税するような形で、地方税の体系を修正することも検討に値するだろう。
(※1)内閣府『令和3年度 年次経済財政報告』、2021年9月による。
(※2)森信茂樹『税で日本はよみがえる 成長力を高める改革』、日本経済新聞出版社、2015年等による。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

- 執筆者紹介
-
経済調査部
経済調査部長 末吉 孝行
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米国の大手金融機関のウェルスマネジメント部門におけるバンキング機能の重要性
バンキング機能活用がウェルスマネジメント事業を成長させる鍵
2026年05月20日
-
2026年1-3月期GDP(1次速報)
中東情勢が悪化するもGDPへの影響は限定的で、2四半期連続の増加
2026年05月19日
-
動き始めた民間主体の二国間クレジット制度(JCM)
GX-ETS本格稼働と国際ルール整備で変わる企業の活用の位置づけ
2026年05月19日
-
女性のリスク性資産の投資拡大に向けて
制度拡充と就業支援に加え、今後は金融経済教育の拡充も重要に
2026年05月18日
-
改革「道半ば」論に潜む危険性
2026年05月20日

