活発化する地域銀行の統合による再編
2026年05月27日
地域銀行(地域金融機関(※1)の中の地方銀行と第二地方銀行)の統合による再編が活発化している。それを間接的に後押ししているのが、金融庁により2025年12月19日に公表された「地域金融力強化プラン」(※2)という地域金融機関向けの地域金融力を十分発揮できる経営基盤強化を主な目的とした政策パッケージである。「地域金融力」とは、「有望なプロジェクトへの資金供給にとどまらず、幅広い金融仲介機能を発揮しながら、地域経済に貢献する力」とされている。ただし、「地域金融力の担い手」としての地域銀行は、その役割を十分に発揮できるための経営基盤強化を進めていく必要がある。地域の急速な少子高齢化による人口減少とともに地域銀行等の顧客基盤=事業基盤が縮小していくなかで、「十分な経営体力・収益基盤」を確保し、将来にわたって役割を果たしていくことが必須となる。顧客基盤縮小に加えて、地域銀行の大小に関係なく、金融サービスを安定的に提供するためのコストは増大している。この背景には、地政学リスクの顕在化等による経済・市場の想定外の変動に対応するリスク管理の強化、急速に高次元化するサイバー攻撃やマネー・ロンダリングへの対応等への非常に高度なシステムへの継続的な設備投資、高度な専門人材確保などが考えられる。これらを踏まえると、地域銀行が単独で「地域金融力の担い手」になれるのかとの懸念がこれまで以上に高まっており、地域銀行の統合による再編が活発化しているといえよう。
「地域金融力強化プラン」の一環として、すでに2026年4月24日には、改正金融機能強化法(※3)が国会で成立し、経営基盤強化のための地域銀行の統合の動きを後押しする政策が拡充されている。この法律により、資本参加制度(=地域金融機関等に対し、国(預金保険機構)が公的資金による資本参加を行う制度)と資金交付制度(=合併・経営統合等を実施する地域金融機関等に対し、国(預金保険機構)が追加的な初期コストの一部について資金交付を行う制度)の期限延長・拡充等が実施される。両制度とも申請期限は2026年3月までであったが、前者は「『当分の間』に設定」(※4)し、後者は「『2031年3月末』まで延長」した。
「地域金融力強化プラン」では、顧客基盤の縮小=預金減少により、「中長期的に経営の選択肢が狭まる可能性がある」としている。すでに、2023年12月以降、個人預金量が減少している地域金融機関の数が、増加している地域金融機関の数を上回っている。さらに地域金融機関の規模(預金量等)と経費率(経費÷業務粗利益(事業会社の売上に相当))の間には負の相関関係があり、地域金融機関の経営状況は二極化している。前述したように金融サービスを提供するコスト負担が益々増えていくことを前提とすれば、経費率を低下させることができない地域銀行が地域金融力の担い手になることは難しいといえよう。これらを踏まえると、統合による地域銀行再編は今後も続くことになるといえるのではないか。
(※1)特定地域を主要な営業基盤とする金融機関であり、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合、農業協同組合、漁業協同組合、労働金庫などを含む。
(※3)「金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律」が国会で成立し、5月7日に公布された。公布日より3か月以内に全面施行される予定である。
(※4)以下断り書きがない限り、引用部分(鍵括弧部分)の出所は「金融庁『金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案 説明資料』(2026年2月)」
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金融調査部
主席研究員 内野 逸勢

