なぜ、デジタル人民元は「デジタル預金通貨」へ移行したのか

制度変更が示唆する中央銀行デジタル通貨の課題と中国の現実解

RSS

サマリー

◆中国は2026年初頭よりデジタル人民元の位置づけを「現金のデジタル版」から「デジタル預金通貨」へと変更することを明らかにした。

◆今回の制度変更の狙いは、(1)商業銀行にデジタル人民元の普及活動の積極化を促すこと、(2)利用者に対して利息付与というメリットを提供すること、を通じてデジタル人民元の普及を本格化させたい思惑があると見受けられる。

◆デジタル人民元の導入目的の一つに少数の民間企業による寡占状態にあるスマートフォン(スマホ)決済市場の公平性・効率性向上があったが、5年超の実証実験を経ても、デジタル人民元の個人利用は限定的であった。このため、中国当局は、民間スマホ決済が広く普及する環境下では、利息付与のない中央銀行デジタル通貨(CBDC)の普及は困難、との結論に至った可能性が高い。

◆今回の中国の動きは、民間スマホ決済が既に広く浸透した市場において、新たなデジタル通貨を普及させるには、事業者と利用者双方のインセンティブを考慮した制度設計が求められることを示した。我が国がデジタル通貨及び次世代金融サービスのあり方を検討する上でも重要な先行事例だといえよう。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート

同じカテゴリの最新レポート