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様々な2018年問題

2017年12月11日

山口 茜

師走のコラム。今年のことを書くか、来年のことを書くか、悩ましい年の瀬だ。ついに2018年がやって来る。


2018年問題は随分前から私立大学の存立の危機として意識され、様々な議論がなされてきた。これは、2018年以降18歳人口が継続的に減少し、大学進学者数も減少することで、現在でも定員割れが多く生じている私立大学の経営がさらに圧迫されるという問題である。この問題は、かなり前から分かっていたことであり、そのことをしっかりと受け止めておけば、大学や社会が変わることのできる時間は十分にあったはずだ。しかし、実際はどうだろうか。来年以降の大学経営を注視することでおおよその結果は分かるだろう。


このように2018年問題と言うと、大学経営の話が挙げられることが多いが、2018年の注目ポイントはそれだけではない。労働市場でも、2018年は変革の年になりそうだ。


2018年度は、改正労働契約法で定められた有期雇用者の無期転換が本格適用される初年度でもある。これは、有期雇用者が同じ企業で通算5年を超えて働いた場合、本人の申し出があれば無期転換できるというものだ。アンケート調査によると、この無期転換をきっかけに正社員化を進めようと考えている企業も多く見られ、労働市場に新たな風を起こしそうだ。


一方で、この無期転換ルールには「抜け道」が存在する。それは、契約終了から再雇用までの空白期間が6ヶ月間あるとそれ以前の契約期間はリセットされ、算入されないというものだ。一部の企業では、これまでも、派遣社員が一定期間連続で働くと、直接雇用の責任を企業が負わされる恐れがあるとして、少しの空白期間をおいてから再び雇用契約を結んでいたが、報道によると、そういった企業が無期転換ルールの適用を回避するために、空白期間を6ヶ月間に変更しているという。
こうした中で、無期転換ルールの本格適用初年度である2018年度の動向が注目される。


また、2018年の通常国会には、長時間労働是正に向けて、「罰則付き時間外労働の上限規制」を盛り込んだ労働基準法改正案が提出される予定だ。これまで、企業の多くは人手不足に対し残業を増やすことで対応してきた。しかし、今後それは難しくなるだろう。
企業は、これまで社内で一部の人に偏っていた仕事を平準化するなど、社内の仕事配分の再構成が必要とされる。また、中長期的には、効率化や省人化投資等を含めた労働生産性の向上が必須であろう。


労働市場では2018年を契機に様々な動きが出てきそうだ。その中で、労働市場の真の変革に向けた取り組みが行われるのかが注目される。

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