IPO市場の活況は続くか?
2013年05月07日
「アベノミクス」効果により、新規公開(IPO)市場にも活気が戻ってきた。
IPOの初値が公開価格を大幅に上回る事例が続出している。中には公開価格の数倍の初値がつく事例もあり、IPO市場の活況を象徴している。
一時期はIPO件数が低迷し、新興市場の活性化は非常に困難とされていた。しかしながら、ボトルネックとなっていた株価の長期低迷が解消され、投資家はリスクのあるベンチャー企業への投資に意欲を示しているようだ。投資家が戻ってきた新興市場にはベンチャー企業も期待を寄せているだろう。このような好環境も手伝ってか、年初来のIPO件数は順調に推移しており、今年は通年で40~50件のIPOが見込まれるのではとの声も聞かれる。ITブームのピーク時と比較すると、まだ程遠い水準であるが、市場環境が良ければ今後も順調にIPO件数が増加することが見込まれるだろう。
ベンチャー企業とは対照的な位置にいる、大企業の株価が回復することも重要なことである。「アベノミクス」の経済効果については、資産効果、中でも個人投資家などが保有している株式の評価額が上昇することで個人消費が上向くことが期待され、話題となっている。この場合に消費に影響を及ぼすのは、個人投資家への認知度が高いと思われる大企業の株価である。また大企業の株価上昇がきっかけとなり、株式市場への資金流入が増加すれば、ベンチャー企業が上場する新興市場をも活性化することにつながる。IPOによって新しい企業が増加すれば、株式市場全体の新陳代謝が促進され、市場がますます活性化する好循環が期待できる。
東京、大阪の証券取引所においては新しい経営体制が発表された。今後とも魅力的な株式市場の育成に向けて政官民一体となって取り組む必要があるだろう。日本のベンチャー投資は米国などと比較するとまだまだ歴史が浅い。リスクを取れる個人投資家の育成もこれからである。市場の過熱を心配する声も多いが、今は過度に心配せずに日本の株式市場が一皮むけることに期待を寄せて良いのではないかと筆者は考えている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
中国:26年1Qは予想外の堅調で5%成長
ただし、中東情勢緊迫長期化なら政府目標4.5%~5%成長は困難に
2026年04月17日
-
原油高の国内への波及経路と価格転嫁率を踏まえた消費者物価への影響
原油・天然ガス・石炭価格の10%上昇は物価を最大約0.3%押し上げ
2026年04月17日
-
令和8年金商法等改正法案 有価証券に関する不公正取引規制等の見直し
市場制度ワーキング・グループの提言がそのまま反映される
2026年04月17日
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 何故、円安・ドル高が止まらないのか?
中東情勢の混乱が続く中、円安と物価高・実質賃金低下の悪循環が継続するリスク
2026年04月16日
-
ホルムズ海峡封鎖で変わる世界地図—改めて問われる「成長投資」とは?
2026年04月17日

