サマリー
◆2026年1月23日、内閣府は「医療等情報の利活用の推進に関する検討会 中間まとめ」(以下、「中間まとめ」)を公表した。「中間まとめ」では、EUのEHDS(European Health Data Space)を参考に、医療等情報の一次利用と二次利用を一体的に捉える重要性が確認されるとともに、二次利用に向けた制度設計、ガバナンス、情報連携基盤の在り方等に関する有識者の意見が整理された。医療等情報の二次利用を円滑に進めるためには、国民・患者や医療機関による一次利用を広げることが急務である。
◆医療データの一次利用が進むオーストラリアでは、My Health Recordを通じて、国民・患者が多様な医療データを迅速に閲覧でき、自身の医療に関する意思決定に主体的に関与しやすい環境が整えられている。さらに、政府は、国民・患者がMy Health Recordに容易にアクセスできるアプリを提供し、その利便性向上に継続的に取り組んでいる。加えて、医療提供者に対しては、医療データの共有を促す経済的インセンティブが設けられている。2026年7月からは、検査結果や画像診断報告書の原則共有の義務化も予定されており、一次利用は一層活発化すると見込まれる。
◆日本においても、医療等情報の一次利用を推進するには、必要な情報が可能な限り欠けることなく、タイムリーに閲覧・共有できる環境が求められるだろう。そのためには、医療機関における電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスの導入を加速させ、処方・調剤情報や診療情報の迅速な共有が可能となる態勢を整備することが重要である。これらの導入が着実に進み、十分に活用されるよう、診療報酬上の評価は、その実態と整合的に設計する必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
中小企業の従業員に資産形成機会の充実を
勤労者への資産形成機会の拡大、金融所得格差の是正に向けて
2025年12月29日
-
介護情報基盤の構築に向けた現状と課題
全国実施の遅れは地域包括ケアシステムの推進にもマイナスの影響
2025年07月10日
-
医療等情報の二次利用に向けた環境整備
医療DXの効果を可視化し、一次利用を広げることがカギ
2025年06月12日
最新のレポート・コラム
-
医療等情報の一次利用を広げるには
広範な閲覧・迅速な共有・義務化へ移行で拡大する豪州の一次利用
2026年03月12日
-
米国は「トランプ口座」で資産形成を支援
2025~2028年に生まれた子どもに1,000ドルを政府拠出
2026年03月12日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
第228回日本経済予測(改訂版)
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年03月10日
-
中東情勢の緊迫化とデフレ下の中国で起きること
2026年03月11日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
-
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
-
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日

