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混乱収拾に成功したFRB

2007年09月25日

リサーチ業務部 主席研究員 小林 卓典

米国のFRB(連邦準備制度理事会)が0.5%の予想以上の利下げを行ったことで、信用不安が国際的に伝播する懸念は和らいでいる。日本の株式市場にとって、米国との金利差縮小が急激な円高を招かなかったことも、安心感を生み出す要因となっている。ユーロや豪ドルなどの動きを見る限り、円キャリートレードが再開されている模様だ。

市場はFRBが追加利下げを行なうと読んでおり、世界的に持ち直した株価の持続性も、FRBの政策にかかるところが大きい。政策金利であるFFレートの先物を見ると、年末までに少なくとも0.25%の追加利下げが行われ、さらに来年半ばにかけても金融緩和が継続し、現状4.75%のFFレートは、4%程度にまで下がる形となっている。

ただしこれは今のところ市場の期待にすぎない。先日のFOMC(公開市場委員会)の声明文は、依然としてインフレへの警戒感を残す内容であった。また、米国では、利下げがサブプライム問題で損失を出した銀行やヘッジファンドの救済につながるという批判もあるようだ。そのため、市場の期待通りにFRBの金融政策が展開するかどうかは分からない。おそらくFRBを率いるバーナンキ議長としては、3回の利下げでFFレートを合計0.75%引き下げたロシア危機のような対応で済ませたいのが本音ではないだろうか。

理由の一つは、短期的には収まりつつある米国のインフレだが、長い目で見れば徐々に高まって行く可能性があることである。新興国における需要増が、エネルギーなど資源価格に上昇圧力をかけている。また中国がいつまでも豊富な労働力を背景に安価な製品を供給し、先進国のインフレを抑制する存在にとどまり続ける保証はない。米国の中国からの輸入価格は、今年に入って上昇に転じている。

二つ目は、金融危機や景気後退を防ぐための利下げも、行き過ぎてしまえば結局のところ資産インフレを招き、経済を不安定化させてしまうことである。最近になって、誰がサブプライム問題をここまで悪化させたのかと、批判の矛先が超金融緩和を行ったグリーンスパン前議長に向けられているのもそのためである。

これまでのところFRBは市場混乱の収拾に成功している。しかし、大幅な利下げは危機の克服には不可欠だが、それ自体が次の危機発生の可能性を内包してしまうジレンマに悩んでいるはずだ。ただ減少する住宅投資を見る限り、追加利下げは避けられず、来年まで継続する可能性がやはり高いのではないか。

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