ドイツ新政権発足:2006年が正念場
2005年11月21日
ドイツでは11月22日にようやく新政権が発足する運びとなった。9月18日に実施された総選挙では与野党とも過半数の議席を獲得できず、野党第1党のキリスト教民主/社会同盟(CDU/CSU)と与党第1党の社会民主党(SPD)から成る大連立政権が、ほぼ40年ぶりに結成される。11月11日には今後4年間の基本的な政策方針をまとめた「連立協定」が発表された。同協定は雇用創出と財政赤字削減を最重要目標としている。雇用創出支援のため、失業保険への拠出負担を軽減し、解雇保護規定を一部緩和することが盛り込まれた。一方で、ユーロ圏の一員でありながら2002年以降財政赤字がGDP比3%を超過している現状を放置できないため、税制上の優遇措置や補助金の廃止、増税、年金保険料引き上げなどの財政健全化のための方策も並んでいる。
ドイツ経済は2005年前半までの景気低迷から、夏以降持ち直しの兆しをみせているが、牽引役は輸出であり、内需、殊に個人消費は停滞が続いている。景気回復の初期に、家計に一段の負担増を求めるような新政権の政策は無謀と映る。「国民いじめ」との批判の声も強い。実は、景気回復と財政健全化という両立が難しい政策を迫られたドイツ新政府が出した結論は、財政健全化の目標年次を2007年に1年繰り延べることであった。消費税率引き上げ(16%→19%)、通勤費補助の削減、年収25万ユーロ以上の富裕者を対象とする所得税率引き上げ(42%→45%)はいずれも2007年年初に実施される。一方、2006年から実施される政策では、研究開発費の増額(2010年までにGDP比3%規模に増額)、減価償却率の引き上げ、解雇保護が適用されない試用期間の延長(6ヶ月→2年)など、投資や雇用をバックアップしようとする政策が並ぶ。2006年末には増税直前の駆け込み需要も予想され、新政権の経済政策は2006年に関しては景気刺激を重視しているといえる。
加盟国の財政健全化を監視する欧州委員会は、ドイツの財政健全化の時期を2007年とすることを了解した。1年の猶予をもらった新政権は、2006年のうちに雇用創出で成果を上げることが最大の課題である。また、実施時期が2007年から2008年に先送りされてしまった法人税の抜本的な改革も、早い段階から具体的な議論を進めることで、将来の見通しを晴らすことが肝要である。2007年には増税に加え、税制優遇措置の廃止、年金保険料負担増(所得の19.5%→19.9%)が計画されているため、消費が大きく減退する可能性が高い。失業保険料負担の軽減(所得の6.5%→4.5%)も予定されているが、マイナスの影響を相殺するには力不足であろう。妥協の産物と評価の低い大連立政権が、ドイツ経済を立て直すことができるか否か、最初の1年が重要になる。
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