サマリー
◆2025年6月の家計調査における二人以上世帯の実質消費支出は、前月比▲5.2%と2カ月ぶりに減少した。複数の需要側統計を用いて補正した世帯消費動向指数(CTIミクロ)で見た実質消費は同▲3.0%と、2カ月ぶりに減少した。前月に上振れしていた自動車購入費などの反動減が大きい。他方、供給側統計である商業動態統計では、CPIの財指数で実質化した小売販売額が同+1.0%と2カ月ぶりに増加した。需要側と供給側統計の双方を用いて算出された総消費動向指数(CTIマクロ)は同+0.1%であった。総じて見れば、6月の個人消費は前月から小幅に増加したと判断される。
◆個人消費は秋口にかけて横ばい圏で推移するだろう。消費回復への鍵は、実質賃金の上昇だ。春闘の賃上げ率が昨年に続き高水準となったことや夏季賞与が好調だった点は好材料だ。他方、物価は高水準で推移しており、引き続き実質賃金を下押しするだろう。加えて、物価高騰への懸念が消費者マインドを下押ししている点には注意が必要だ。
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