道府県民税利子割への清算制度導入を提言

令和8年度税制改正での実現は不透明な情勢

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2025年08月13日

サマリー

◆令和7年度与党税制改正大綱にて、住所地課税の例外となっている道府県民税利子割について、税収帰属の適正化のための方策の検討が示されていた。当該問題につき、総務省「地方税制のあり方に関する検討会」(以下、検討会)にて議論が行われた。

◆道府県民税利子割とは、預金利子等が対象となる個人住民税の種別であり、税率は5%である。納税義務者の住所地課税ではなく、金融機関等の口座所在地課税が採用されている。近年、インターネット銀行の伸長による道府県民税利子割に係る税収の東京都への集中が問題視されていた。

◆検討会では、税収の帰属を適正化する方策として清算制度の導入が提示された。地方消費税において導入されている制度であり、納税地の都道府県と最終消費地の都道府県で生じる納税額のずれを是正するものである。現下の税収帰属のずれに対応しつつ、金融機関等に負担を生じさせない手段として合理的であると言える。

◆中間整理では清算制度の導入を令和8年度税制改正で実現する方向が目指されている。ただ、東京都が清算制度の導入に慎重であることも踏まえると、今後の情勢は不透明である。

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