改正物流効率化法とCLO義務化 — 次の中期経営計画で物流をどう位置付けるか

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2026年07月01日

  • コンサルティング企画部 主任コンサルタント 五十嵐 陽一

2026年4月、改正物流効率化法の第2段階が施行された。取扱貨物の重量9万トン以上の荷主は「特定荷主」として指定され、中長期計画の作成や定期報告が義務付けられている。対象は上位約3,200社にのぼる(※1)。「物流2024年問題」に端を発した一連の制度改革は、「物流2026年問題」として新たな段階に入った。いまや物流部門だけの話にとどまらず、経営そのものの課題になったと言える。

2024年問題を受けた2025年4月の第1段階では、すべての荷主に対し、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役などの時間の短縮が努力義務として定められた。今回はその延長線上にあるが、質的な変化が大きい。とりわけ注目すべきは、特定荷主に物流統括管理者(CLO)の選任が義務付けられた点である。CLOは「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」、すなわち経営幹部から選任することが求められている(※1)(※2)。物流の意思決定が、取締役会レベルのアジェンダに引き上げられたのである。

CLOの業務範囲は広い。中長期計画や定期報告の作成にとどまらず、トラックドライバーの負荷軽減に向けた事業運営方針の策定が求められる。さらに、設備投資やデジタル化・物流標準化に関する事業計画の作成・実施・評価、そして開発・調達・生産・販売・在庫管理・物流など関係各部門間の連携体制の構築にまで及ぶ。これは事実上、物流を起点としたサプライチェーン全体の再設計を求めるものだ。しかも、取り組みが不十分と判断された場合には、勧告・企業名の公表・命令といった段階的な行政処分が想定されており(※2)、経営上のレピュテーションリスクにも直結する。

先行する企業の動きは示唆に富む。SUBARUは全面施行に先立つ2025年4月に「物流本部」を新設し、CLOを設置した。各部門に分散していた物流機能を統合し、全社視点で改革に着手している(※3)(※4)。ダイキン工業は1984年に物流本部を設立して以来、40年以上にわたり物流を独立した経営機能として運営してきた。今回の法改正を機にSCM担当役員をCLOに選任し、幹線輸送のパレット化や異業種との共同輸送など、部門を超えた全体最適化を推進している(※3)。いずれも単なる法令対応ではなく、物流を経営戦略の中核に位置付けた取り組みと言える。

筆者は様々な企業の中期経営計画策定を支援する立場にあるが、物流をコストセンターとしてしか捉えていない企業はまだ少なくないと感じる。一方、改正法は2028年度までに荷待ち・荷役時間の年間125時間/人の削減、積載効率向上による輸送能力16%増加をKPIとして掲げている(※1)。荷待ち時間が減少すればドライバーの稼働効率が向上し、積載率が上がれば必要車両数が減少する。いずれも物流コストの構造的な低減と競争力強化に直結する。物流は「守り」ではなく「攻め」の経営テーマとなり得るのだ。

次の中期経営計画や経営方針の見直しにおいて、物流をどう位置付けるか。CLOという新たな経営ポストをいかに機能させるか。対象となる企業にとって、その答えを出すべき時が来ている。

(※2)物流効率化法 第47条第2項、第49条、第50条

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五十嵐 陽一
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コンサルティング企画部

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