サマリー
◆トランプ大統領は2025年の就任以降、関税引き上げや対イラン強硬姿勢など、市場や景気への影響を顧みないかのような政策運営を進めてきた。一方で、市場の混乱や支持率低下への懸念が高まると姿勢を軟化させる“TACO”(“Trump Always Chickens Out”(=トランプはいつもビビッて取りやめる))と呼ばれる行動も繰り返している。
◆本稿では、こうした政策転換の兆候を把握するため、“TACO”指数を作成した。“TACO”指数はS&P500、米10年債利回り、ドル指数、支持率を基に算出し、株安・金利上昇・ドル安・支持率低下が同時進行するほど上昇する。“TACO”指数の上昇局面は、政権が政策修正・撤回を迫られる圧力が強まっている局面と解釈できる。
◆これまでの“TACO”指数の推移を振り返ると、関税、FRBの独立性を巡る問題、中東情勢という異なる政策分野において、“TACO”指数の上昇後に政策対応が軟化するという共通パターンが確認された。とりわけ市場や家計への影響が大きい政策ほど、指数の上昇が政策修正の前兆となっている可能性がある。
◆“TACO”指数はあくまで、市場・有権者という「外側」からの圧力を映す鏡であり、政権の「内側」の政治力学を映し出すことは難しい、という限界もある。しかし、トランプ政権の政策運営に内在する「強硬姿勢と軟化のサイクル」を可視化する参考指標といえる。“TACO”指数が示す圧力の蓄積度合いを継続的に観察することは、トランプ政権の政策運営の転機を見極める羅針盤となり得るだろう。
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