サマリー
◆日本の10年物国債利回り(長期金利)は直近の2026年7月で、G7諸国の中で最低水準にある。景気循環の影響を除去した上で、財政状況との関係を長短金利スプレッドで見ても同様だ。背景には、長らく続いたデフレや累次の金融緩和策、潜在成長率の低迷に加え、国債保有が国内投資家に偏ってきたことなどがある。もっとも、こうした環境は変わりつつある。日本銀行(日銀)の金融政策の正常化が進む中、銀行等も規制対応を背景に国債保有余力が制約されやすく、長期金利に対する上昇圧力は中長期的に続くとみられる。
◆高市政権誕生(2025年10月)から2026年6月までの長期金利の変化幅は+1.0%pt程度で、内訳は「期待短期金利成分」が+0.3%pt程度、「タームプレミアム」が+0.7%pt程度だった。短期金利見通しの不確実性やその背後にある物価見通しの不確実性の高まり、財政規律に対する市場参加者の懸念などがタームプレミアムを中心に長期金利を押し上げた可能性が示唆される。一方、日銀のバランスシート縮小による影響は限定的だったとみられる。
◆推計した長期金利関数に2035年までの見通しや想定を当てはめると、長期金利は2030年に3.1~3.4%程度、2035年に3.3~4.0%程度へと上昇すると試算される。さらに、海外投資家の国債保有割合が高まることでリスクプレミアムが上乗せされれば、長期金利は2035年に6%近くまで高まる可能性が示唆された。長期金利の過度な上昇を回避し、企業に積極的な投資を促すためにも、高市政権は成長戦略の推進とともに必要な財源確保や制度改革を進め、債務残高対GDP比を2030年代も安定的に引き下げることが重要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
骨太方針のポイント② ~「責任ある積極財政」の試金石は2030年代に
「財政ボーナス期」後を見据え「成長ありき」でない財政運営が必要
2026年07月15日
-
国債保有のスムーズな移行に向けた課題
銀行勘定の金利リスク規制により銀行の保有余地は限定的
2025年02月28日
-
日銀QTの現在地と国債買入れ減額停止の影響
貸出増加支援オペ残高減少で地域金融機関に目配り必要
2026年06月11日
同じカテゴリの最新レポート
-
出産年齢から見るChild Penalty①
就業継続の広がりと先行研究から見える課題
2026年11月06日
-
消費データブック(2026/11/5号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2026年11月05日
-
2026年7-9月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+1.5%を予想~
個人消費は小幅減だった一方、設備投資と輸出が実質GDPを押し上げ
2026年10月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
-
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
-
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
-
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日

