オンラインを組み合わせた質の高い医療を目指す

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2021年09月28日

新型コロナウイルスの感染拡大を機に、生活のあらゆる場面でオンライン化が進んだ。もちろん対面の良さに改めて気づくことも多いが、テレワークだけでなく、面接や会議、授業、コンサート、年末年始の帰省に至るまで、様々なものごとが創意工夫をすれば幅広くオンラインで対応できることがわかった。今後も見直しを重ねながら、より利便性の高い活用方法が検討されていくだろう。

医療においても、2020年4月以降、時限的・特例的な取扱いとしてオンライン診療やオンライン服薬指導が大幅に認められた。当初は、外来受診による院内感染の不安などに対応するものだったが、実際に使ってみると、患者は想像以上の便利さに気付いたり、医師も診療業務を補完できるといった思わぬメリットを見出したりと、効果的な活用方法が見えてきたようだ。例えば、忙しくて対面での受診がなかなかできなかった働き盛りの世代が受診できるようになったり、疾患に影響しそうな患者の生活の場を医師が知ることができたりしたという。

2021年6月18日に閣議決定された「規制改革実施計画」では、オンライン診療について、初診からの実施は原則、かかりつけ医によるとされた。ただし、かかりつけ医以外の医師が、あらかじめ健康診断結果等の情報によって患者の状態が把握できる場合も実施できるとした。また、オンライン服薬指導については、薬剤師の判断により初回から実施することが可能とされた。計画通りに改革が進めば、要件が大幅に緩和されることになり、初診の場合でも診療から処方まで一気通貫のオンラインを用いた医療が実現する。2021年秋を目途に、ルールの見直し案が公表される予定であり、動向が注目される。

厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」(2021年5月31日)の資料によると、オンライン診療に対応している医療機関は2021年4月末時点で全体の15.2%にとどまっている。オンライン診療やオンライン服薬指導はまだ十分に活用されているわけではない。つまり、これまでにわかったメリットは一部にすぎず、より有効な活用方法はほかにもあるかもしれないということだ。

メリットや課題をよく知るためにも、まずは活用実績を増やす必要があるだろう。そのためには、安全性を確保しつつ、患者にとっても医師にとっても利用しやすい枠組みにして、見直しを重ねながらより良い仕組みとしていくようなアプローチが有効ではないか。オンラインによる診療や服薬指導をうまく組み合わせた質の高い医療が広がっていくことが望まれる。

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執筆者紹介

政策調査部

主任研究員 石橋 未来