2018年02月14日
ASBJ(企業会計基準委員会)は、2018年1月25日の理事会で今後の金融商品会計の見直しについて、その要否も含め、検討を開始した。検討に際しては、「日本基準を国際的に整合性のあるものとするための取組み(金融商品)」(以下「取組文書」)という文書が用いられた。2月2日の金融商品専門委員会でも同文書に基づいた議論がなされた。
もともと、ASBJは、中期運営方針で、金融商品会計に関しては、国際的な整合性を図る必要性の高い項目と位置付けていた。昨年(2017年)10月に、IFRS第9号「金融商品」(2014年版)を、一部修正して、受け入れる「修正国際基準(JMIS)」の公開草案を公表しており、今後さらに、IFRS第9号の導入に向けてわが国の会計基準改訂に着手するか否かの検討に取り掛かる予定であった。
取組文書では、「減損」を検討の優先度が高い項目ととらえている。「減損」は、金融機関によるローンの評価が中心で、IFRSも米国基準も、トリガーとなる事象の発生の有無に関係なく、将来予測的な情報を反映した予想損失を計上するアプローチを適用している。わが国の金融機関の貸倒引当金等の算定では、全面的に将来予測情報によることが求められているわけではない。さらに、金融庁は昨年12月に、金融機関の自己査定について定めている金融検査マニュアルを平成31(2019)年4月1日以降の年度から廃止する方針(案)を公表しており、今年の夏を目途に考え方を示していく予定である。
これらを踏まえ、取組文書では、今後の進め方として、金融商品会計のうち、まずは「減損」のみについて見直しに着手するか、「分類及び測定」、即ち評価方法と「ヘッジ会計」も含めた三つの分野すべての見直しに着手するか、などについて、2018年上半期中を目途に意見を募集することとしている。減損のみならず、「分類及び測定」についても、日本基準とIFRSとでは、株式の評価や会計処理方法、非上場株式の時価評価の強制、投資信託や仕組債に対する時価の変動を損益計上する会計処理の強制、償却原価が適用できる債券の範囲の拡大、外貨建債券の為替換算差額の取扱いなどで大きな違いが見られる。「ヘッジ会計」も、IFRSでは、金利スワップの特例や為替予約の振当処理が認められない、ヘッジ非有効の部分は損益計上するという厳しい面がある一方で、有効性判断の80~125%基準を廃止し、包括ヘッジの要件を緩和する(株式ポートフォリオのヘッジも可能である)、純額ヘッジを認めるなど、リスク管理活動により近いものとなっている(※1)。
さらに、時価の算定方法や開示などを定めるIFRS第13号「公正価値測定」の受け入れの可否も、既に2017年11月から検討が開始されている。2月2日の金融商品専門委員会では銀行(地方銀行を含む)、証券会社、保険会社を対象としたアウトリーチの結果が報告されたが、時価の算定方法や対応するシステムの見直しの必要性を指摘する意見が多く見られた。
これらの基準の見直しは、金融機関を中心に、大きな影響を与えることが予想される。しかし、今のところ、市場の関心はそれほど高まっていない。おそらくは、ASBJの意見募集を契機に関心が高まるものと思われるが、意見募集に備えて、IFRS第9号、IFRS第13号と日本基準の違いについて、市場関係者は今一度振り返っておく必要があろう。
(※1)もっとも、銀行業と保険業は、現行の日本公認会計士協会の業種別監査委員会報告に基づく会計処理との比較になる。
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