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フィッチはロシアの格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げた

2017年10月27日

シニアエコノミスト 菅野 沙織

9月22日に信用格付け会社のフィッチはロシアの格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げた。

ロシアメディアはこの動きを一面トップ扱いで報道した。7月に米国議会で制裁の相当な長期化を意味する法律が可決されたことにより制裁の早期解除という夢があえなく潰えたロシアにとって、格付け見通しの引き上げは朗報であったに違いない。

実際、対ロシア制裁が長期化すると考えるのは極めて妥当である。なぜなら、類似する前例が存在するからである。74年に米国のジャクソン・バニク修正条項といわれる法律により科された制裁が40年近く継続した。今年7月に米国議会で採択された対ロシア制裁法は、大統領が議会の了承なしに制裁を解除できない点でジャクソン・バニク修正条項と類似している。

大統領は議会の承諾なしに制裁を緩和・解除することができないため、議会が制裁を解除しない何らかの理由を求めることは想像に難くない。特に今年7月に採択された制裁法を通じてロシアのエネルギー部門を苦境に追い込む制裁が科された背景には、米国の欧州における液化ガスの販促という目的があったことを考慮すれば、この制裁法は政治的なオブラートに包んだ米国の輸出支援とも言える経済的な意味合いが強く、早期制裁解除というロシアの熱望がかなう見通しは消滅したと言っても過言ではない。

にもかかわらず、フィッチはなぜ格付けの見通しを引き上げたのか。

実は、フィッチはロシアと貿易・投資の両面で強いつながりを持つ欧州に本拠を置く会社であるせいか、15年~16年の危機時にもロシアに対して比較的柔和なスタンスを取っていた。ビッグスリーと呼ばれるムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ、フィッチ・レーティングスの三大格付け会社のうちフィッチ社だけは、15年~16年のロシア経済景気後退期にもロシアの信用格付けを最低水準ではあるが投資適格等級を維持していた。

フィッチは今回見通しの引き上げを決定した背景として、ロシア経済の安定性を支えるルーブルの外的ショックに対する耐性が向上したこと、インフレ率が中銀目標(4%)を下回ったこと(9月は3.0%)、慎重な財政政策等を挙げている。

実際、ロシア政府は財政赤字の見通しについて、17年については従前予測の対GDP(国内総生産)比3.2%から同2.1%へ引き下げて、18年については同1.4%まで低下させることを目標としている。さらに今回の格付け見通しの引き上げには、政府が7月に採択した予算ルール(連邦予算の歳出は1バレル当たり40ドルで計算した場合の原油輸出による収入を超えないこと)への評価も含まれる。

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