サマリー
- 実質GDP成長率見通し:26年度+0.5%、27年度+0.8%:本予測のメインシナリオにおける実質GDP成長率は26年度+0.5%、27年度+0.8%(暦年ベースでは26年+0.5%、27年+0.7%)と見込む。春闘賃上げ率は26年も高水準が続く公算が大きく、政府のエネルギー高対策などで物価上昇が抑えられることもあり、所得環境の改善は続くだろう。人手不足対応の省力化投資やAI関連等の情報関連投資などを背景に設備投資は増加基調を維持すると見込む。メインシナリオでは中東情勢が短期間で収束し、原油価格の下落や供給の回復が続くと想定しているが、不確実性は大きい。仮に、26年10-12月期から27年1-3月期にかけて日本を含むアジアで供給不足が発生し、原油高が再燃すれば、26年度の日本の実質GDP成長率は0.4%pt低下すると試算される。
- 日銀の金融政策:中東情勢による物価上昇圧力の高まりを受け、コアCPI上昇率は26年度で前年比+2.4%、27年度で同+2.2%と見込む。日銀は早ければ26年6月にも短期金利を1.00%に引き上げ、その後は半年に一度程度のペースで0.25%ptの追加利上げを行うと想定している。足元で上昇基調が強まっている長期金利は、27年度後半には3.1%に達すると見込む。
- マクロモデルでみた日本経済「持続的成長」の条件:日本経済の当面の主な下振れリスクは中東情勢だが、それが落ち着いたとしても、低い生産性や労働力の減少、経済安全保障リスクといった中長期的な課題に取り組む必要がある。当社の中期マクロモデルに基づけば、現在の経済構造が維持される中では、40年度にかけて年率+1%を下回る成長率にとどまり、公債等残高対GDP比は30年代後半に上昇基調に転じる見込みだ。これに対して、民間の前向きな行動変容や供給力の強化、財政健全化の推進を想定した場合には、物価が安定した環境の下で潜在成長率は年率+1%台前半で安定的に推移し、日本経済の持続的成長が見込まれる。こうした経済構造への転換を官民で目指すべきだ。高市政権の看板政策である「危機管理投資」などでは費用対効果を重視し、プライマリーバランスに目配りしつつ、メリハリをつけて推進することが必要だ。
- 持続的成長実現に向けた金融・資本市場の方向性と課題:企業の国内投資活性化のためには、家計金融資産が企業の投資に向かい、企業の成長の恩恵が家計に還元されるという「資産形成と成長の好循環」の実現が重要だ。日本では銀行借入中心の金融システムが続いてきたが、過度な借入依存には企業のリスクテイク抑制などの弊害がある。そのため、好循環実現には社債市場の活性化が不可欠だ。企業が投資を積極化する中、負債比率が上昇し、負債に占める社債の割合が最適水準まで上昇すれば、40年度の社債調達残高は約620兆円(24年度の約5倍)に拡大する可能性がある。ただし、実現には社債市場のボトルネック解消が必要だ。併せて、家計の資産構成の見直しが進展し、リスク性資産の比率が現状の20%台前半から35%以上まで上がれば、40年度の家計金融資産は約4,600兆円(25年の約1.9倍)に拡大する可能性が高まる。
【主な前提条件】
(1)為替レート:26年度160.0円/ドル、27年度160.3円/ドル
(2)原油価格(WTI):26年度87.1ドル/バレル、27年度72.3ドル/バレル
(3)米国実質GDP成長率(暦年):26年+1.9%、27年+2.1%
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