サマリー
◆インフレに加え、新NISAの開始などの政策的な後押しや、株高を受けた株式・投資信託の評価額の上昇も大きく影響し、日本の家計金融資産に占める現預金比率は、2025年6月末に約18年ぶりに50%を割ったのち、2026年3月末には47%まで低下した。
◆この結果は、緩やかに「貯蓄から投資へ」が進展した、と評価できる面がある一方、金融リテラシーは必ずしも向上していないようだ。「金融リテラシー調査」の結果を見ると、2025年調査時には、2022年までの調査時に比べ多くの分野において正答率が低下している。
◆加えて、特に金融リテラシーが低い層において、株式を購入した際、その商品性を「人に教えられるくらい詳しく理解」したうえで購入したとの回答比率がほかの階層に比べて高い。また、その比率は足元で上昇しつつあることから、実際の知識水準はあまり向上していないにもかかわらず、購入時に商品性を十分理解していたと自己認識する人の割合が上昇している可能性がある。
◆知識はないが自信をもって株式を購入しているような層に対して、適切な知識を身につけたうえで、自らの資産形成を考えた結果としてリスク性資産の購入を判断する、というあるべきステップを提示する必要は大きい。
◆このような状況で求められるのは、単純な金融経済教育の拡充ではなく、金融リテラシーの「底上げ」に向けた取り組みだ。学校や職域をはじめとした、参加者の自主性に依存しない接点を通じた教育の拡充をより一層図っていくべきだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
資金循環統計からみる家計金融資産の現状
2026年3月末の金融資産は2,386兆円に。現預金比率は47%に低下
2026年06月26日
-
「意識」の格差と金融経済教育
生活設計の必要性すら感じていない層へのアプローチも必要
2025年09月10日
同じカテゴリの最新レポート
-
「意識」の格差と金融経済教育
生活設計の必要性すら感じていない層へのアプローチも必要
2025年09月10日
-
金融経済教育に必要な視点
『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
-
ソーシャルメディア上の情報発信に関する金融経済教育の事例
「フィンフルエンサー」の発する情報との付き合い方をどう教育するか
2025年02月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

