第230回日本経済予測

円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証

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2026年08月21日

サマリー

  1. 実質GDP成長率見通し:26年度+0.7%、27年度+0.9%:本予測のメインシナリオにおける実質GDP成長率は26年度+0.7%、27年度+0.9%(暦年ベースでは26年+0.7%、27年+0.7%)と見込む。中東情勢の混乱を背景に輸入原油高が国内の製品・サービス価格に転嫁されることなどが下押し要因となる一方、高水準の賃上げ継続や飲食料品の消費減税などもあって実質賃金は上昇を続けるだろう。好調な企業収益を背景に、省力化投資やAI関連投資、研究開発投資などが拡大すると見込む。平時の円安は日本経済全体ではプラスの効果をもたらすが、その恩恵と負担は偏在しており、さらに、近年では円安による需要の発現が抑制されている。為替レートの安定が重要だが、米金利の先高観が高いうちは円安が進みやすい。長期金利はタームプレミアムを中心に押し上げられており、財政に対する市場の信認維持が重要だ。
  2. 日銀の金融政策:コアCPI上昇率は26年度で前年比+2.1%、27年度で同+1.2%と見込む。27年度の大幅低下は飲食料品の消費減税によるもので、政策要因を除けばインフレ率は2%台での推移が続く。日銀は26年10月に短期金利を1.25%へ引き上げた後、四半期に一度程度のペースで利上げを進め、27年4-6月期に1.75%へ到達すると予想する(その後は据え置き)。長期金利は緩やかな上昇が続き、27年度末で3.1%程度と見込む。
  3. AI活用で日本経済はどう変わるのか?:人工知能(AI)の技術が発展し、業務の一部を自律的に担う「AIエージェント」の利用が広がる一方、今後は物理作業を担うフィジカルAIの台頭も期待される。生成AIの活用が広がることで日本の労働生産性上昇率(今後10年間の年率)は0.5%pt高まるが、フィジカルAIの導入も想定すれば+0.9%pt、活用の広がりがより加速すれば+1.5%ptへと効果が拡大すると試算される。他方、生成AIは事務に従事する雇用、フィジカルAIは運搬・清掃・包装等に従事する雇用を代替する面があり、AI活用で労働生産性が向上し、GDPが増加する中でも、そうした労働者の雇用が悪化したり、賃金が低下したりする恐れがある。政府のコミットメントを強化するなどしてAI活用を推進し、経済成長の加速を目指すことが期待される一方、AIに雇用が代替されやすい労働者へのリスク周知や重点的なリスキリング支援なども必要となる。
  4. 資産市場と実体経済の好循環に向けて:株価や不動産価格の上昇は家計の資産価値を押し上げる一方、近年のインフレは金融資産の約半分を占める現預金の価値を目減りさせている。日本の家計における資産効果は米欧諸国と比べて小さく、2%のインフレに伴って資産価格も上昇(株価11%、住宅・土地3%上昇と設定)した場合、資産価格上昇による正の資産効果を、現預金等の実質価値低下による負の効果が上回り、個人消費は0.3%減少するとみられる。こうした課題に対し、金融リテラシーの向上による株式・投資信託の保有拡大、年金・医療費等に対する将来不安の軽減、中古住宅市場の活性化等が求められる。家計金融資産に占める株式・投資信託の割合が約4割まで上昇し、株式・投資信託や住宅・土地の資産効果が高まれば、物価・資産価格上昇局面における個人消費への影響は、0.3%の押し上げに転じると見込まれる。

【主な前提条件】
(1)為替レート:26年度158.9円/ドル、27年度158.2円/ドル
(2)原油価格(WTI):26年度86.8ドル/バレル、27年度85.8ドル/バレル
(3)米国実質GDP成長率(暦年):26年+2.0%、27年+2.1%

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