SFDRのレベル2、適用開始時期は「2022年7月1日」か
2021年09月01日
今年の3月に、当欄にて、「SFDR(EU資産運用会社等のサステナビリティ開示規制)、『先送り』か」と題するコラムを寄稿した(※1)。
そのコラムでは、SFDR(※2)(※3)のレベル2(細則)の適用開始時期について、EUの銀行・証券・保険の監督当局(ESAs: European Supervisory Authorities)が今年の2月に公表したレベル2のドラフトでの提案から、「2022年1月1日」となるのではないか、という見込みを伝えている。
そもそも、SFDRのレベル1(本則)の適用開始時期は、「2021年3月10日」である。これを受けて、ESAsが最初に公表したレベル2のドラフト案(2020年4月公表)では、その適用開始時期を、レベル1と同じく「2021年3月10日」とする旨提案していた。
これに対して、レベル2を採択する欧州委員会は、新型コロナウイルス感染症の影響による市場関係者の準備期間の不足を理由に、ESAs宛のレター(2020年10月20日付)にて、レベル2の適用開始時期をレベル1のそれ(「2021年3月10日」)よりも後ろにずらす必要があると主張した。こうした欧州委員会からの「要請」を受けて、上記コラムで伝えたとおり、ESAsは「2022年1月1日」に「先送り」するという提案をしたわけである。
その後、欧州委員会は、この「2022年1月1日」という「先送り」の提案でさえ、レベル2の適用開始時期としては尚早である、と考えていることが明らかになった。
その証左として、欧州委員会は、欧州議会及びEU理事会に宛てたレター(2021年7月8日付)において、レベル2の適用開始時期を、ESAsによるドラフト案の提案よりも6ヶ月後ろ倒しにした、「2022年7月1日」とする計画を通知している。
理由について、欧州委員会は、「市場関係者による(SFDRレベル2の)円滑な実施を促進するため」としている。
こうしたレベル2の適用開始時期の後ろ倒しは、SFDR対応に追われる市場関係者にとっては、安心材料となろう。
(※2)SFDR: EU Regulation on Sustainability-related Disclosures in the Financial services sector
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
- 執筆者紹介
-
ニューヨークリサーチセンター
主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
いまさら人には聞けない 公開買付け(TOB)のQ&A【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年03月02日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
2026年1月鉱工業生産
普通乗用車などの大幅増産により自動車工業が生産全体を押し上げ
2026年02月27日
-
人手不足時代の外国人労働者の受け入れと共生の課題
潜在成長率を年率0.4%pt押し上げ/共生の鍵は日本語教育
2026年02月26日
-
PERはなぜ上がらない?──市場が見ているのは「価値創造ストーリー」が描く未来
2026年03月02日

