サマリー
◆2025年4-6月期(以下、4-6月期)の実質GDP成長率は前期比年率+3.0%とプラスに転じ、市場予想(Bloomberg調査:同+2.6%)を上回った。4-6月期の内訳を見ると、1-3月期に生じた、関税本格化前の駆け込み輸入からの反動減がヘッドラインを大幅に押し上げた。他方で内需については、屋台骨である個人消費は加速したものの、設備投資が減速し、住宅投資はマイナス幅が拡大した。その結果、米国経済の自律的な成長を反映する民間最終需要は同+1.2%と3四半期連続で減速した。
◆2025年下半期の実質GDP成長率についても、内需中心に軟調な推移が見込まれる。既に実施されている関税によるコスト高が景気の下押し要因になることに加え、関税を巡る不透明感が続いていることで、家計・企業は消費や投資に慎重な姿勢を取るとみられる。他方、景気の下支え要因としてFRBによる利下げが期待されるが、FRBの中でインフレ再加速に対する警戒感は根強く、様子見姿勢が続いている。2025年内の利下げの再開が見込まれる一方で、その後の変更は緩やかなペースに留まるとみられる。また、減税法案が7月4日に成立したものの、景気の押し上げ効果が本格化するのは2026年以降と想定される。2025年内については、金融・財政政策による景気の押し上げに大きな期待はしづらく、景気の下振れリスクが高い。
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