「使い切らない寄付」って? 米国の大学を支えるエンダウメント型の寄付

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2026年10月19日

9月末にふるさと納税をした。筆者が寄付先に選んだのは、学生時代に自動車の免許合宿に行った縁のある自治体だ。返礼品にはフルーツを選んだ。申し込みの際には、子育て支援など寄付金の使い道を指定することも、「市長にお任せ」とすることもできる。寄付をするとき、私たちは「何に使ってほしいか」を考えることが多い。

では、「いつ使うか」はどうだろうか。日本では、寄付はその時々の事業に使うもの、というイメージが強い。ところが、米国の大学への寄付には、その時々の大学運営にあてる「使い切り型」だけでなく、寄付を基金に積み立て、運用しながら長期にわたって活用する「エンダウメント型」がある。

その仕組みと規模を図表に示した。実際、基金の規模はかなり大きい。2025年度に米国の大学関連財団657機関が保有する基金総額は約9,443億ドル(約141.6兆円)に達した。大学への寄付のすべてが、その年度の運営に使われるわけではない。同年度には約140億ドル(約2.1兆円)が新たに基金に加わった。その一方で、過去の寄付を積み上げてきた基金からは約334億ドル(約5.0兆円)が大学などに支出され、年間運営費の約15.2%を占めた。つまり、現在の教育や研究を支えているのは、その年度に集まった寄付だけではない。米国の大学が長い歴史の中で積み上げてきた、過去の寄付という資産ストックも大きな役割を果たしている。

エンダウメント型の特徴は、基金を単純に取り崩して使い切るのではないことにある。寄付を元手として資産を運用しながら、その一部を毎年大学に払い出していく。支出しても基金の価値が長期的に維持されるよう運用することで、現在だけでなく、将来の学生や研究者も支えていくという考え方だ。

寄付をするとき、私たちはまず「何に使ってほしいか」を考えるが、「いつ使うか」という時間軸もあるということだ。方法次第では寄付でも資産を今すべて使うのではなく、運用しながら将来世代にその恩恵をつないでいくことができる。こうして考えてみると、「いつ使うか」という視点は、寄付以外にも当てはまりそうだ。日本でも、時間軸を意識した資産の生かし方がもっと広がる余地がありそうだ。

図表:米国大学における寄付の位置づけ(2025年度)

(注)2025年度は、2024年7月1日~2025年6月30日。円換算は1ドル=150円。エンダウメント型の寄付に関する数値はNACUBO・Commonfund”2025 NACUBO-Commonfund Study of Endowments“(2026年2月)による米国の大学関連財団657機関の集計値。寄付総額に占める基金向け比率は、COUNCIL OF ADVANCEMENT AND SUPPORT OF EDUCATION”Insights on Voluntary Support of Education 2025“(2026年4月)を基に米国の高等教育専門メディアHigher Ed Diveが報じた数値(2026年4月14日)。
 (出所)NACUBO・Commonfund、Higher Ed Diveより大和総研作成

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吉田 亮平
執筆者紹介

経済調査部

シニアエコノミスト 吉田 亮平