GX戦略地域の産業集積はどこまで広がるか
2026年10月14日
2026年9月、経済産業省はGX戦略地域の第1弾として3類型で計18地域を認定した(※1)。GX戦略地域制度は、「GX2040ビジョン」で示されたGX産業立地政策を具体化するもので、コンビナートや脱炭素電源などを核に、新たな産業クラスターの創出を目指す。背景にあるのは、脱炭素電源が地域に偏在することを踏まえ、その供給地に工場などの電力需要を集積させることで、地方創生と経済成長につなげるという考え方である。今回の認定により、こうした政策は具体的な地域で本格化する段階に入ったといえる。
制度の特徴は、自治体や企業が策定した計画に対し、国が支援と規制・制度改革を組み合わせて、その実現を後押しする点にある。設備投資への支援に加え、企業の進出を待たずに送電網の整備を先行させるなど、立地に必要な条件を早い段階から整える。今回の地域認定は、①コンビナート等再生型、②データセンター集積型、③脱炭素電源活用型の3類型について行われた(※2)。既存のコンビナートを活用してGX関連産業の集積を目指す類型(①)では川崎市が、今後10年程度でギガワット級の集積地の形成を目指すデータセンター集積型(②)では、北海道や秋田県、福岡県などが認定された。脱炭素電源を活用した産業団地を整備する類型(③)では、洋上風力などを活用する秋田県、再生可能エネルギーの活用を目指す福島県浪江町、原子力発電由来の電力を見込む島根県松江市などが認定された(秋田県は両類型に含まれる)。活用する既存インフラや電源、誘致を想定する産業は地域ごとに異なり、それぞれの条件に応じた産業集積のあり方が探られることになる。
もっとも、立地に必要な電力をどう確保するかは、地域によってはなお検討段階にある。③脱炭素電源活用型で認定された秋田県では、再エネ100%の電力供給を担う事業者を公募中で、供給開始は2028年度が目標とされる。同じ類型の福島県浪江町では、産業団地はすでに入居可能であるものの、脱炭素電力を供給する発電設備の検討はこれからだ。他方、データセンターや半導体工場の新増設に伴う電力需要は、今後10年にわたって増加する見通しにある(※3)。企業が投資判断を行う時期と、地域で電力供給が具体化する時期にずれが生じれば、企業誘致の好機を逃しかねない。
今後の焦点は、認定地域への企業進出が、取引先や関連産業を含む産業集積へと広がるかである。そこから新たな事業が生まれ、その動きが素材から製品に至る国内サプライチェーンの高度化につながれば、「GX2040ビジョン」が目指す産業構造の実現に向けた一歩となる。第2弾以降の認定とあわせ、各地域の取り組みの進展を注視したい。
(※2)制度にはこのほか、事業者の設備投資を支援する「脱炭素電源地域貢献型」がある。
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金融調査部
主任研究員 依田 宏樹

