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ESG・SDGsに真剣に取り組む企業がすべきこととは?

2021年01月05日

金融調査部 研究員 藤野 大輝

2021年はESG・SDGsに関する取り組みの転機となる年といえる。米国ではバイデン大統領の誕生によって、パリ協定への復帰をはじめとした環境・社会問題に対する政策の実施が期待される。わが国においても、菅総理が2050年にカーボンニュートラルを実現することを目標として脱炭素社会に向けた取り組みを強化する意向を示している。

しかし、環境・社会問題を解決するためには、政府の取り組みだけでは十分でなく、企業からの積極的な動きが必要となってくるだろう。企業の取り組みを促す原動力は様々考えられるが、非常に重要なものの一つとして、役員への報酬とESG指標を連動させることが挙げられる。役員報酬とESG指標が連動することで、経営方針・戦略にESG・SDGsをより深く組み込む・リンクさせることが可能になるのではないだろうか。

また、昨今では投資家等もESGを投資判断に用いることが増えており、経営陣のインセンティブとしてESGと連動した報酬が導入されていることは評価されうるだろう。実際、投資家等に向けた企業のESG情報の開示基準のうち、主要なものであるGRIスタンダード、国際統合報告フレームワーク、TCFD提言などでは、ESGに関する目標や指標の報酬への組み込みの有無、また、その内容の開示が要求・推奨されている。

それでは、日本企業においてはどの程度ESG指標が役員報酬に組み込まれているのだろうか。東京証券取引所(東証)上場企業のうち時価総額上位500社の有価証券報告書(※1)から、役員報酬がどのようなESG指標と連動しているかに関する開示データを集計した(図表)。

大きく分けて、環境に関する指標(CO2排出量、再エネ使用率)、従業員に関する指標(従業員賞与、従業員満足度など)のほか、顧客満足度や外部評価(ESGインデックスへの組み込みを含む)などが見られた。ただし、わが国ではまだ役員報酬をESG指標と連動させている企業は少ないことが見て取れる。

ESG・SDGsに取り組む企業は年々増えてきているが、表面的なアピールにとどまり、実体のないものも中にはあるだろう。より質の高い取り組みを行い、投資家等から高い評価を得る上では、経営陣が主体的・積極的に関与している姿勢を示すことが何より重要である。そのためには、インセンティブとして報酬とESG指標を連動させることが考えられる。2021年、ESG・SDGsへの新たな流れが予想される年に、新たな報酬設計を検討してみてはいかがだろうか。

東証上場企業時価総額上位500社において役員報酬に用いられているESG指標

(※1)東証1部、2部、マザーズ、JASDAQに上場している企業のうち、2020年5月31日時点で時価総額が上位500社の企業の、2020年9月末までに提出された有価証券報告書を対象としている。なお、これらの有価証券報告書での役員報酬の開示に関するより詳細な分析については、以下の大和総研レポートを参照。

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藤野 大輝

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