コンサルタントがお絵描きAIで遊んでみた
2023年02月10日
2022年は「Midjourney」や「Stable Diffusion」といった画像生成AIが公開されたことに伴い、AIが自動でイラストを生成するアプリが話題となった。
特に、「お絵描きばりぐっどくん」が好評だ。特殊なスキルや環境構築は不要で、LINE上でワードを送信すると数秒でAIがそのワードを元にした絵を作成し返信してくれる。まさにお絵描きレベルの手軽さではあるが、そのクオリティはなかなかのものだ。
例えば「ゴッホが描いた長崎県西海市の港」とメッセージを送ると、ゴッホが描いた様なタッチの港のイラストが返ってくる。同じメッセージを送っても、AIがこれまで学習した様々な要素を元に都度画像生成を行うので、毎回イラストの表現が異なるのも興味深い。
このようなAI技術の急速な発展の一方で、法律やルールが追いついていないという課題も浮き彫りになっている。現時点では、AIによってアウトプットされた成果物について著作権に関する取り扱いは定まっておらず、成果物の利用には留意が必要だ。しかし、行き過ぎた規制がこのトレンドに冷や水を浴びせないことを期待したい。イラスト投稿サイトのピクシブは、このような課題を認識しつつも現在は過渡期であるとし、AIが関与した成果物の完全な排斥は想定しておらず、クリエイターとの共存の道を探るとの声明を発表している(※1)。
また、これほど簡単にイラストが描けると、近い将来イラストレーターは職を奪われるのではないかという思いがあったが、お絵描きAIを好意的に捉えているアーティストもいる。イラストレーターの大友昇平氏は、インタビューの中で「頭のなかのアイデアやイメージを手軽にアウトプットするツールとして優れている」と話している(※2)。お絵描きAIは様々な切り口によってアウトプットを行うため、自身が持つイメージを拡大・増幅・洗練させるツールとしての側面があるのだろう。
一方、お絵描きAIのアウトプットに方向性・同一性を持たせたい場合は、具体的な指示が求められる。画像生成自体は一単語でも可能だが、指示がシンプルであるほど返ってくるアウトプットにムラがでる。そのため、お絵描きAIへの指示にはプロンプトや呪文と呼ばれる単語のピックアップや並べ方が重要になってくる。人へ依頼することと同様に、アウトプットしてほしい内容を明確にし、整理して伝えることが大切である。
お絵描きAIの使い方は様々だ。出来上がった作品をSNS上でシェアするだけでなく、自身の柔らかなアイデアをお絵描きAIにぶつけ、偶発的に出てきたアウトプットによって新たな示唆が得られるような「一人ブレインストーミング」や、具体的かつ的確な指示ができるようなトレーニングとしての使い方を考えてみても面白い。
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- 執筆者紹介
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コーポレート・アドバイザリー部
主任コンサルタント 内山 和紀
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