想像以上に感動した車の最新技術

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2022年07月13日

長年乗っていた車を乗り換えるため、年初からいろいろと車を見て回っていたが、先日、ついに納車される運びとなった。半導体不足等の影響で、ディーラーからは当初、納車までに1年以上はかかると言われたが、別の顧客からキャンセルが出て、それが私の希望していた車と近いこともあり、幸運にもわずか3カ月待ちで納車された。

今回は、以前乗っていた15年前の車と車種・車格が違うので単純には比べられないが、この間にAIやデジタルを中心とした新しい技術が取り入れられ、自動車が大幅に進歩していることに正直驚いている。例えば、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)と呼ばれる先進運転支援システムを使えば、人間が常にハンドルを握って運転状況をモニターし、ブレーキを踏める状態を保つ必要はあるものの、前を走っている車との車間距離を保ちながら、加減速や停止を自動で行ってくれる(ACC:Adaptive Cruise Control)。また、車線から車がはみ出そうになると、ハンドルが自動で車線内に戻してくれる。高速道路での車線変更も、後続の車がいないことを車自身が確認した上で、自動でレーンチェンジをしてくれる。これらの技術はいわゆる自動運転レベル2にあたるので、ドライバーによる監視が必要であり自動運転には該当しない(※1)が、おかげで車を長距離で運転しても疲れにくく、どこまでも運転したくなってしまう。また、全方位の車載カメラや障害物との接近を知らせる警告装置によって、周囲の状況を確認しながら安全に車を操作できるため、狭い道や駐車場で車を擦ってしまうリスクを大幅に軽減でき、個人的には非常に助かっている。

自動車業界の最新技術を見渡すと、他にもカーナビゲーションやエアコンなどを指で触れずに音声認識だけで操作できるもの、自動で駐車場に車庫入れをしてくれるもの、特に夏には便利な機能として、スマートフォンを使って遠隔で車内のエアコンを起動させて、運転前に車内を涼しくできる機能があるもの、ドライバーの顔を認識してシートを自動で調整してくれるもの、さらには運転中に意識を失った場合には自動で車を安全な場所に停止させる機能があるものなど、自動車は急速に便利かつ安全な乗り物へと進化している。

このところ、世界で自動車の話題と言えば、どちらかというと電動化が中心となりがちだ。国内でも最近発売された軽自動車のBEV(電気自動車:Battery Electric Vehicle)が話題となっており、国内外で環境負荷を抑える車の電動化への取り組みが急ピッチで行われている。一方、日本のように超高齢社会が深刻な社会では、交通手段としての自動車をいかに安全に走らせることができるのかという視点も、やはり非常に重要であると考える。自主的な免許返納が増えることは望ましいと思うものの、特に自動車がないと生活するのに支障をきたす地方では、高齢化も一層進んでいるのでなおさらだろう。

AIを含む最先端のデジタル技術が、今回紹介したような自動車の例に限らず、社会のさまざまな課題解決のために貢献できるようになるのはとても良いことである。今こそより大局的な視点から、国内でも利用者の立場に立って新しい技術を活用していく気概が、社会全体で共有される必要があるだろう。

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溝端 幹雄
執筆者紹介

経済調査部

主任研究員 溝端 幹雄