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女性管理職を増やせば本当に業績は上がる?

2019年12月23日

新田 尭之

世界経済フォーラム(WEF)は先日、世界各国の男女格差の度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」の最新の数値を発表した(※1)。日本は調査対象153ヵ国のうち、121位と過去最低の順位となった。女性の政治参画の順位が144位と前年から後退した上に、経済分野も115位と依然として低評価であった。経済分野を小項目ごとに見ると(図表1)、同一労働における賃金の男女格差(67位)、労働参加率(79位)のように、近年における人手不足等の影響を受けてある程度高い順位を付けた項目も存在するものの、管理職比率の男女格差(131位)のパフォーマンスの悪さが目立つ。労働市場での女性の存在感は高まったが、女性の社会進出はまだ大きく遅れていると言える。  

女性の社会進出はそれ自体が望ましいのはもちろんだが、仮に日本で女性管理職の存在感が高まれば、経済的にどのようなメリットがあり得るのか。先日発表したレポート(※2)を踏まえれば、企業の利益率の改善が指摘できる。

このレポートでは、延べ数千社におよぶ7年分の上場企業の個社レベルのデータを分析対象とした。その上で、①管理職に占める女性比率が一定ライン(※1参照)を超え、②女性役員が1人でも存在する企業を、女性活躍度が高い「なでしこ系企業」と定義した。そして、なでしこ系企業とその他の企業の財務パフォーマンスの平均的な違いを検証した。検証時には、因果推論の分析手法により、単に業績の良さが女性活躍を促す「逆の因果関係」や、企業規模など他の要因が両者に因果関係があるように見せてしまう「見せかけの相関関係」を可能な限り除去した。

分析結果からは、上記の要因を除去しても、全体的になでしこ系企業ほどROAが上昇することが示唆された(図表2)。例えば、ある年に「なでしこ系企業」と分類された企業の5年間のROAの上昇幅は、その他の企業と比較すると+1.3%ptも高かった。イメージで言えば、その他の企業がROAを5.0%から6.2%まで改善させたところ、なでしこ系企業のROAは5.0%から7.5%まで高まったようなものである。

つまり、「ジェンダー・ギャップ指数」で指摘された日本の管理職比率の男女格差をなくすことは、企業にとってもメリットが大きいのだ。加えて、なでしこ系企業の中でも、子育てと仕事の両立を支援する制度を整備している企業ほど当該効果の幅が大きい点等も示された。

これらの結果を踏まえると、管理職レベルでも女性が十分に活躍できるような社会進出を進めることが、日本経済の生産性を引き上げるためにも重要だと言える。女性をはじめ人材の多様性を受け入れる土壌の醸成、および多様性を活かす制度の構築は、日本でさらにイノベーションが生まれやすい環境作りに資するのではなかろうか。

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